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ソニックチャンネル

連載サウンドコラム

ソニックチームのサウンドディレクター瀬上 純と大谷 智哉によるコラムコーナー。

『ソニック ランナーズ』の楽曲制作 #2

みなさんこんにちは、「ソニック」シリーズ サウンドディレクターの大谷です。

本日!『ソニック ランナーズ』が、新バージョン Ver. 2.0 へとアップデートされました!パチパチパチ

新たに実装されたクイックモードや、その他の新仕様など用意してありますので、これまで遊んでくれていた方も、新鮮な気持ちで楽しんでもらえたら嬉しいです!

そしてもちろん、新曲も用意してあります!!まだVer. 2.0がスタートしたばかりですので多くは語りませんが、新たなモードのテーマとなるような、疾走感のある曲を作りましたので、チェックしてみて下さい!

Ver. 2.0用の曲も、10月末に開催されたスペシャルステージイベント「ハロウィンの夜」の曲も、つい先日レコーディングをして完成したばかりなのですが、今回のコラムは『ソニック ランナーズ』の楽曲制作 #2 として、お送りしたいと思います。

ちなみに、前回の記事はこちら「『ソニック ランナーズ』の楽曲制作 #1」です。


前回も書きましたが、まずコンピューターやギターなどを使い作曲し、楽曲のデモバージョンを制作します。最終的には生演奏に差し代わるパートも、打ち込みでシミュレートしたり、仮の演奏を録音して入れておき、どのような曲なのか判断出来るデモとして形にします。

デモをプロデューサーやディレクターに聴いてもらい、OKをもらえたらスタジオでのレコーディング作業へと進めていくわけですが、前回はドラムやヴァイオリンの収録について触れましたので、今回はベースとギターにフォーカスしてみたいと思います。

Bass

Bass 山田章典さん

(一応......)ベースを弾く身としても、楽曲のアレンジ目線からもベースはとても重要です。曲の土台を支え、グルーヴを牽引するのはもちろんのこと、メロディの合間でフレーズが主張してくるような、そんなベースラインが好みです。

ベースのレコーディングは、山田章典(やまだあきのり)さんに参加してもらっています。J-POPのレコーディングやライブを中心に活躍されている方で、『ソニック カラーズ』のオープニングテーマ_「Rech For The Stars」以降、僕が作る大半の楽曲でベースを弾いてもらっています。

事前にデモ音源と譜面を送っておくと、いつも軽く予習をしてきてくれます(ありがとうございます)。デモに打ち込んであるガイドのベースラインやアレンジの意図を踏まえつつ弾いてもらうのですが、山田さんのプレイで曲に躍動感がみなぎってくる、そんな感じです。

山田さんのアンプ Ampeg B15N

『ソニック ランナーズ』のベースサウンドは、ベースが「Fender Jazz Bass 64'」アンプが「Ampeg B15N」全曲この組み合わせで収録しています。ゴリッとしていて、曲の中で出来てきて欲しい帯域がいる、そんなサウンドです。

レコーディングも終盤になると、それこそ1、2小節単位で部分的に細かくベースラインを追い込んでいきます。山田さんはなにより引出しが豊富なので、こちらのリクエストに応じて様々なパターンを提案してくれます。だいたい1時間~1時間半くらいで、1曲のベーストラックを完成させていきます。こんな風に弾けたら気持ち良いだろうなぁ~(遠い目)そんなことを思いつつ、ディレクションをさせてもらっています。

余談ですが、感謝祭等のイベントでライブがあると自分でベースを弾くことになるのですが、つまりレコーディング時に山田さんに要求したことが、そのまま全部自分に跳ね返ってくることになります......orz 頑張ります......

Guitar

下の方のパートから順番に録音を進めていきたいので、ドラム→ベースときて、次がギターです。『ソニック ランナーズ』の楽曲にとって、ギターも重要なパートです。

デモの時には自分でギターを弾いて録音しておくのですが、なんせテンポの速い曲ばかり......(自分で作っておいて何ですが)僕の演奏スキルではコードチェンジが追いつかないことが多々あり......。そんな時は潔く、2小節、4小節と細かく分けて録ったり、場合によってはテンポを下げて録ってしまい、後からオーディオのテンポを上げたりすることもあります。(テヘッ)

Guitar 西川進さん

本番のギターの演奏は、山田さんと同じく『ソニック カラーズ』の「Rech For The Stars」以降、レコーディングに参加して頂いている西川進(にしかわすすむ)さんに弾いてもらっています。

西川さんは音楽業界の第一線で活躍する、言わずと知れたスーパーギタリストです。西川さんのギターサウンドはエッジーで音にスピード感があります。擬音で言うなら「ジャキーン」とした感じです。エフェクティブなプレイも得意で、ギターソロをお願いすると実に変態的です(褒めてます)。変態要素は抑えてもらっていますが、Ver. 2.0から導入されたクイックモードの曲には、短いギターソロがありますので是非チェックしてみて下さいね。

ちなみに、『ソニック ロストワールド』のラスボス戦の曲「Dr. Eggman Showdown」にも、西川さんのノイジーでエクスタシー、直感的なギターソロが収録されていますのでこちらも要チェックです。

ギターのパートは1曲につき複数トラックあることがほとんどなので、バッキングから順番に収録していきます。

今回、Ver2.0の収録で使用したギターとアンプはこちら

左から「Gibson SG Custom with Maestro Classic White」、「Fender Jazzmaster American New Vintage Series Rosewood/Olympic White」、「SPEAKER CABINET: HIWATT SE4123 / HEAD: HIWATT DR-103 White」


そんな素晴らしいミュージシャンの方々と、自分がイメージする楽曲の理想形へと近づけるべく、あーだこーだとやりとりしながら作業を進めていきます。レコーディングで重要なのはコミュニケーションですが、一緒にスタジオに入って作業しやすい人、やりとりがスムーズに運ぶ人というのは、音楽的にどうこう以前に、波長が合う何かがあるなぁと常々思っています。

トリートメント

スタジオでの収録が終わると、録音データを自席のコンピューターに持ち帰りOKテイクの編集をします。もちろんそのままでも申し分のないテイクが録れているのですが、そこからさらに、部分的なタイミング調整や波形編集作業で、さらに良いテイクへと磨きをかけていきます。

他のアーティストの方のCDのクレジットで知ったのですが、そういった録音素材の調整作業のことを"トリートメント"と呼ぶそうで、それを知った時は妙に感心してしまいました。今後発売するサウンドトラックに、"Treatment of All Tracks by ○○○○" などと記載されていることがあれば、そういう作業をした人のことなんだなぁ~と思って頂ければ幸いです。

今回ミックスダウン作業で使用した SOUNDCREW STUDIO

全パートのトリートメント作業(←使ってみた)が終わると、エンジニア氏にデータを渡してミックスダウン作業へと進めます。そこでもまた、あーだこーだと調整を続け、いろいろなスピーカーで視聴確認をしたりして完成です。

1曲が完成するまで長い道のりではありますが、世に出たらその音源が全てなので、なるべく良い形で送り出してあげたいと思うがあまり、細かいところまでこだわってしまいます。

そんな楽曲が収録されている『ソニック ランナーズ』の Ver. 2.0 遊んでみて下さい。
→『ソニック ランナーズ公式サイト』

また機会があれば、楽曲制作シリーズも定期的に書いていきますのでお楽しみに!

ではまた!