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ソニックチャンネル

連載サウンドコラム

ソニックチームのサウンドディレクター瀬上 純と大谷 智哉によるコラムコーナー。

アナログレコードを聴く

みなさんこんにちは、「ソニック」シリーズ サウンドディレクターの大谷です。

先週『ソニックフォース』アナログ盤の発売を記念して、声優 悠木碧さんとの対談記事が公開されました!もう読んでくれましたか?記事の内容は全く同じではないので両方チェックしてみてくださいね。

アナログレコードというものに触れたことのない方にも魅力を伝えられるような記事にできたらと思っていたのですが、僕がうんちくをあれこれ語るよりは、初のアナログレコード体験という、悠木さんの率直なコメントを拾えたらと思っていました。ゲームやサントラ(CD)の発売から半年以上経ちましたが、あらためて『ソニックフォース』の音楽を振り返る良い機会になりました。

それにしても、Technicsさんのリスニングルーム良かったですよ。最高の試聴環境であることは言わずもがな 。実際、何がよいの?という話ですが、これまで幾度となく聴いてきた曲にも、新たな発見があったのです。

テクニクス リスニングルーム

今回、『ソニックフォース』のアナログ盤以外にも、個人的に聴いてみたいレコードを何枚か持参し、対談終了後に聴かせてもらいました。そのうち1曲に選んだ、ジャクソン5の「I Want You Back」(1969年の曲)には、メンバーの立ち位置が見えるかのような定位感の再現性や音像の立体感に驚きました。これまで幾度となく聴き込んできた曲なのですが、新たな発見とトキメキがありました。

予約をすれば利用できますので、皆さんもぜひ一度足を運んでみたらよいと思います。

→テクニクス リスニングルーム

え、無料でいいんですか?という感じなのですが、『ソニックフォース』や『ソニックアドベンチャー』のレコードを持ち込んで聴かせてもらうもよし、何かオススメを聴かせてもらうもし、有意義な音楽体験ができること間違いなしです。

→「SONIC FORCES ORIGINAL SOUNDTRACK THE VINYL CUTZ」商品情報

レコードとの出会い

せっかくの機会なので、アナログレコードとの出会いについて書いてみたくなりました。

僕は基本的にCD世代です。中学生の頃、音楽に興味を持ち始めてからは、お小遣いでCDを買う、と言ってもそんなにお金もないので、レンタルCDショップに行き、CDを借りてカセットテープにダビングするのが常でした。あとはラジオ番組で音楽を録音したりもしていました。

高校生の頃、日本は空前のバンドブームだったので、インディーズ、メジャー問わずたくさんのCDがリリースされ、お小遣いやバイト代でCDを買っていました。最初は邦楽のバンドが中心だったのですが、徐々に同じジャンルの洋楽にも興味を持ち、聴き漁るようになりました。

今みたいにネットで情報を得る手段もなかったし、CDショップの試聴環境が整っていたような記憶もあまりなく、音楽雑誌や、詳しい友達に教えてもらうか、ジャケ買いするか、みたいな感じでした。

パンクロックから入りオルタナ、ミクスチャー、グランジ などのジャンルを聴き漁る中、レッド・ホット・チリ・ペッパーズというバンドを好きになりました。バンドのオリジナル曲も大好きだったのですが、彼らのアルバムにはカバー曲が混ざっていることを知りました。それは、スティーヴィー・ワンダー 、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ミーターズなど、バンドの音楽性に影響を与えた70年代の音楽だということを知ります。

大学受験のため予備校に通っていたのですが、そこでDJをやっている友達ができ、ミックステープを作ってくれたことがありました。2台のターンテーブルとDJミキサーを使い、選曲をノンストップにつないだものを録音したカセットテープです。この時代、DJといえばアナログレコードでのプレイが基本でした。そのミックステープにはソウル、ファンク、ディスコなどのブラックミュージックをはじめ、ブラジル音楽、レア・グルーヴ、スカ、レゲエ、ロックステディなどの、踊れる1960年代、70年代の音楽がセレクトされていました。あまり聴いたことのないカッコいい音楽ばかりで、CD以前の時代の音楽に興味を持つようになりました。

なんて話を、70年代に青春を過ごした親戚のおじさんに話したら、アース・ウィンド・アンド・ファイアー、シャイ・ライツなどのレコードをくれました。

色々なことが重なり、その年代の音楽とレコードに興味を持つようになりました。DJの友達が持っているレコードを見せてもらったり、一緒に新宿や渋谷、中央線沿線の中古レコードショップに行き、おススメのレコードや中古市場でレアなレコードを教えてもらいました。インターネットがない時代なので、足で探すか、友達に教えてもらうか、雑誌やディスクガイド本を見るか、情報の取り方も今とは全然違います。あとはクラブに遊びに行き、DJがかけている曲が気になったら、いまかかっている曲はなんのレコードですか?と恐る恐る訊きにいったり、そんなことをしていました。CDではリリースされていない、レコードでしか聴けない音楽を少しずつ買い集めるようになりました。

大学生になりバイトで貯めたお金で、念願のTechnicsのターンテーブルを購入しました。まずは、Technics SL-1200MK3を1台、後に、TechnicsのSL-1200MK3Dを2台とVestaxのDJミキサーを購入。その頃はヒップホップやアシッドジャズなどもよく聴いていたのですが、ブレイクビーツのサンプリングネタに興味があり、ネタになっているレコードを調べたりもしていました。

自宅のDJブース Technics SL-1200MK3D / Vestax PMC-05 Pro II

ブレイクビーツなどのサンプリングを軸に作られた、ダンスミュージック全般(テクノやハウス、ドラムンベースなど)にも興味を持ち始め、新譜のクラブミュージックのレコードも買うようになりました。ジャンルによって扱っている専門店も違うので、通うレコード屋も増えていきました。まだ聴いたことのない音楽を探し求めて、暇さえあれば都内の雑居ビルや裏路地にあるあちこちのレコードを巡りました。

2000年代になった頃、ちょっとした革命が起こりました。オンラインストアの登場です。福岡、神戸、京都、大阪、北海道など全国津々浦々のレコードショップが続々とオンラインストアをオープンするようになりました。店主のセレクトによって海外で買い付けられたレコードの試聴ファイルを聴いて気に入ったものをオーダーする仕組みです。これは画期的でした。実店舗を歩き回らなくでも、夜な夜なネットで色々なショップをパトロールし、レコードを注文する日々が始まりました。

中古では、1960年代、70年代を中心に、ソウル、ファンク、ディスコ、ジャズ、ブラジル音楽、サウンドトラック、ソフトロック、フレンチポップ、イージーリスニングなど、新譜ではそれらの再発、復刻盤、コンピレーション盤や、テクノ、ハウス、ブレイクビーツ、ヒップホップ、ドラムンベースなど。あえて分類すればこんな感じですが、基本的にはジャンル問わず、気に入った曲を買う感じです。不思議なもので、買えば買うほど新しいレコード欲しくなる沼にはまっていきました。

自宅のレコード棚 様々なジャンルのレコードがびっしりと。

この頃はレコードに傾倒し過ぎて、CDをあまり買わなくてなっていたくらい。レコードに刻まれている音そのものが好きだったり、ジャケットの存在感だったり、まだ聴いたことのない、カッコいい音楽を探す行為自体が楽しみの一つでした。

海外レコーディングに行く際はレコード屋がある場所を事前に調べておいて、移動スケジュール的に可能であれば、ルートに組み込んでもらうこともあります。日本の中古市場でプレミアがついて8,000円くらいで買ったレコードが、1ドルでたたき売られているのを見つけてしまい、ショックを受けてみたり(笑)。

カリフォルニア州 ロサンゼルスのレコード店

最近はダウンロード販売で購入する割合も多く、定額制の音楽配信サービスなどにも加入しているのですが、完成した『ソニックフォース』のアナログ盤を手にして思ったのは、レコードには音楽を所有する喜びがあるということです。

エントリーモデル的な安価でオールインワンのレコードプレイヤーもありますので、アナログで聴くという選択肢を増やしてみるのもアリだと思いますよ。

ではまた!