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ソニックチャンネル

連載サウンドコラム

ソニックチームのサウンドディレクター瀬上 純と大谷 智哉によるコラムコーナー。

SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE開催![後編]

みなさんこんにちは、「ソニック」シリーズサウンドディレクターの瀬上です。

前回に引き続きまして、2016年4月2日(土)に開催された"SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE"の様子、そしてその舞台裏などを紹介していこうと思います。

当日のライブ本編のセットリストはこちら!


  • Windy and Ripply (SONIC ADVENTURE - Emerald Coast)
  • This Way Out (SONIC ADVENTURE 2 - Prison Lane)
  • Rumbling HWY (SONIC ADVENTURE 2 - Mission Street)
  • Choose Your Buddy! -Slap Bass ver.- (SONIC ADVENTURE - Character Select)
  • Welcome to Station Square (SONIC ADVENTURE - Station Square)
  • Seaside Hill: Act.2 (SONIC GENERATIONS/SONIC HEROES - Seaside Hill/Ocean Palace)
  • Hey You! It's Time to Speed Up!!! (SONIC ADVENTURE - Speed Up)
  • Mr.Unsmiley (SONIC ADVENTURE 2 - Sky Rail)
  • Vengeance Is Mine (SONIC ADVENTURE 2 - Radical Highway)
  • Won't Stop, Just Go! (SONIC ADVENTURE 2 - Green Forest)
  • Theme of "Dr. Eggman" (SONIC ADVENTURE)
  • Skydeck A Go! Go! (SONIC ADVENTURE - Sky Deck)
  • Run Through The Speed Highway (SONIC ADVENTURE - Speed Highway)
  • Be Cool, Be Wild and Be Groovy (SONIC ADVENTURE - Ice Cap)
  • Keys The Ruin (SONIC ADVENTURE 2 - Pyramid Cave)
  • Bad Taste Aquarium (SONIC ADVENTURE - Hot Shelter)
  • Boss: CHAOS ver.6 (SONIC ADVENTURE)
  • Azure Blue World (SONIC ADVENTURE - Emerald Coast)
  • That's The Way I Like It (SONIC ADVENTURE 2 - Metal Harbor)

タイトな下準備!

昨年末に東京ジョイポリスで開催された「ソニックファン感謝祭 2015」にて、イベント開催の告知を行なった際、レコーディングスタジオで撮影した動画を公開しました。しかし、その時点では作業の合間に短いフレーズを合わせてみて、カタチになるかどうかを確認した1曲しか演っていませんでした。

本格的に下準備を始めたのは、今年に入ってから。演奏するのが懐かしい曲ばかりなので、オリジナルのレコーディングデータを探し出して、色々と確認をするところからのスタートでした。ゲームに収録されていたり、サウンドトラックになっている状態の、いわゆる馴染みがあるミックスの状態にならないものが多く、だいぶ困りました。
それにレコーディング当時に使用した進行譜も、殆ど処分してしまっていたので、今回、新たに書き直すことに。

そして、忙しいスケジュールの中、本番までに顔を合わせることが出来るのは5回ということが判明し、以下のようにプランを練りました。

Day1: キックオフミーティング、5曲のバンドアレンジ
Day2: Day1でアレンジしたものをレコーディング+2曲のバンドアレンジ
Day3: 6曲のバンドアレンジ
Day4: 6曲のバンドアレンジ
Day5: 最初で最後の通しリハーサル

結構、タイトなスケジュールでしょう?

最少編成のバンドで如何にカッコよく仕上げるか?という点に主眼をおいて、アレンジを決めていきました。中にはオリジナルに対して、テンポを変えたりした曲もありましたよ。
また、スクリーンの映像に関しては、最初はプレイ動画を流していれば良いかな、くらいに考えていました。
ですが、試しに1曲を途中のキメに合わせたりしつつ、曲の最後に合わせてゴールするように編集してみたところ、その流れの良さがとても良かったので、他の曲もやらないわけにはいかなくなってしまいました。結果、作業量は想定以上に多くなってしまいましたが、やった甲斐はあったなあと思っています。

ライブの詳細解説!

そして、いよいよ迎えたイベント当日。記念すべき”SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE”のバンドとしての初ライブは、エメラルドコーストの"Windy and Ripply"からスタート。この日の演奏曲目を考え始めた当初から、この曲でショウを始めることを想定していました。そして、間髪を入れずにプリズンレーンの"This Way Out"からミッションストリートの"Rumbling HWY"と、テイルスのステージ曲を続けました。どちら曲もステージ名が会場のスクリーンに表示されると一際大きな歓声が湧いていましたね。テイルス関連の楽曲は特にリクエストが多かった2曲をピックアップしましたが、その反応には納得という感じでしょうか。また、冒頭の2曲の後半にはオリジナルの楽曲には存在しないギターソロを付け足してみましたが、そうすることによって「バンド編成のライブならではのアレンジ」が伝わりやすいかと考えたのです。

インスト曲を演奏するライブということで、ゲーム内で使用したステージ曲が中心となるわけですが、他にも馴染み深い曲はあるよね?ということで、次のセクションはキャラクターセレクトの"Choose Your Buddy! -Slap Bass ver.-"からスタート。繰り返しフレーズの短い曲ではありますが、ココから冒険が始まる大事な曲。実はドラムのAct.が演りたいとのことで、セットに入れたナンバーでした。その次は、ゲームプレイ中に滞在時間が多かったはずなので、よく耳にしたであろうアドベンチャーステージ・ステーションスクエアの"Welcome to Station Square”。そして、この日唯一の「ソニックアドベンチャー」シリーズ以外の曲で、『ソニックヒーローズ』のシーサイドヒルとオーシャンパレスの曲を『ソニックジェネレーションズ 白の時空』でアレンジしたバージョン、"Seaside Hill: Act.2"を。"SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE"という名前のイベントですが、この曲は私がどうしても演奏したかったお気に入りの曲。この3曲は、自分の中では「爽やかコーナー」という位置付けでした。

自分がステージ上で感じるCrush 40のライブとの大きな違いのひとつに、オーディエンスの反応があります。ヴォーカル曲のライブだと、ショウの間はずっと拳を振り上げて、大声で歌っている観客が、やはりインスト曲のライブだと静かなんですよね。曲の冒頭と終わりには、大きな拍手と歓声が上がるので「ああ、気に入ってもらえているんだな」と安心はするのですが、やっぱり演奏中に視覚的にもダイレクトな反応があると嬉しいもの。ということで、このあたりで挟むと良いんじゃないだろうかと用意しておいたスピードアップの曲"Hey You! It's Time to Speed Up!!!"で、ドラムのアクセントに合わせて拳を突き上げてもらい、和んでいた会場のテンションをアップ!その流れのまま、スカイレイルの"Mr.Unsmiley"とラジカルハイウェイの"Vengeance Is Mine"というシャドウのステージ曲を。それらのオリジナル楽曲は「ミニマル」で「無機質」な感じを狙って作った曲でしたが、バンドで演奏することによってヘヴィさが増して、よりエッジが立ったバージョンになっていたかと思います。

もう一段階、ギアを入れてヒートアップさせるべく「駆け抜けて行きましょうか!」と言うと、スクリーンにはソニックとシャドウが対峙したカットシーンが映し出され、会場のテンションは最高潮に。"Won't Stop, Just Go!"でグリーンフォレストを駆け抜けたあとは、各メンバーのソロ廻しをフィーチャーした長い構成のエッグマン登場シーンの曲、"Theme of Dr.Eggman"へ。エッグマン関連の楽曲はステージ曲のみならず、ヴォーカルテーマ曲を含め、何曲も手掛けていますが、この曲が一番「らしい」というか、思い入れがあって好きなナンバーですね。

ライブも既に後半戦ということで、熱いナンバーを立て続けに。スカイデッキの"Skydeck A Go! Go!"でスリリングな空中に浮かぶエッグキャリアを走り抜け、スピードハイウェイの"Run Through The Speed Highway"で夜の街を走り抜け、アイスキャップの"Be Cool, Be Wild and Be Groovy"で雪山を滑り抜け、という勢いで乗り切るコーナーも大盛り上がり!

ラスト前の次のコーナーは、機会があればファンの皆さま方に伺っていた「聴きたいステージ曲」のリクエスト第一位と「個人的に一番好きな『ソニックアドベンチャー』の楽曲」を盛り込んだ3曲。一番人気のピラミッドケイブの"Keys The Ruin"から始まり、ホットシェルターの"Bad Taste Aquarium"を経て、自分が一番好きなカオス戦ボスの"Boss: CHAOS ver.6"へ。終わり方もビシッと決まって大満足!

最後の2曲は、エメラルドコースト前半の"Azure Blue World"と、メタルハーバーの"That's The Way I Like It"というそれぞれの作品を代表するナンバーを。元々、"Azure Blue World"に入れていたストリングスのパートを弾いてもらうべく、チェインクロニクルのバンドアレンジを聴かせるCHAIN Bandでも手伝ってもらっているヴァイオリンのテイセナさんにゲスト参加してもらって、盛況のうちに終演となりました。

どんなプロジェクトにおいても仕込みの段階から楽しみにしていますが、やはりダイレクトに反応を頂くことが出来るライブは格別!来場頂いた皆さま、ありがとうございました!

ゲームの構成物のひとつである音楽をフィーチャーして、その場でしか体験できない唯一無二のものを提供すること。それはイベントでは常に考えている事ですが、ゲームやサウンドトラックなどを通じて親しまれている楽曲を、何らかのベクトルで超えている必要があると考えています。

普通のアーティストのライブとも違う、視覚的にも音楽的にも楽しんで頂ける追体験として落とし込めるのはゲームならでは。それを高いレベルで実現して、来場者に感動体験を届けたいものです。でも、それは個人の情熱だけでどうにか出来るものではなく、演奏する仲間たち・適切な会場やタイミング・スタッフや関係者の協力があって実現可能になるもの。全員に感謝ですね!

「ソニック」シリーズの音楽制作に長いこと関わってきて、その音楽がこれだけ支持されているということは、とても励みになります。お陰さまで、とても良いアニバーサリーイヤーのキックオフイベントとなりました。今後も「その場限りの体験」の機会がありましたら、是非、いらしてくださいね!

それでは、また次回...
See Ya!!