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連載サウンドコラム

ソニックチームのサウンドディレクター瀬上 純と大谷 智哉によるコラムコーナー。

『ソニックマニア』配信記念インタビュー

みなさんこんにちは、「ソニック」シリーズサウンドディレクターの瀬上です。

気がついたら、だいぶ長いこと書いていなかった気がしますが、タイミング的に「書きたくても書けなかった!」のです。そのうち、振り返って色々と書くこともあるかと思いますので、お楽しみに!

今回は、先日配信されたばかりの『ソニックマニア』に関して、サウンドコラムならではの記事をお届けしようと思って、楽曲制作を担当したTee Lopesのインタビューをしてみたよ!彼とは普段から連絡を取り合っていることもあって、結構ディープな内容になったかな。ぜひ、読んでみてね!

Tee Lopes インタビュー

Tee Lopes

瀬上 それではTee Lopesさん、よろしくお願いします。今回、『ソニックマニア』の楽曲まわりを担当されたとのことでインタビューをと思っていますが、まずは読者に向けて自己紹介をお願いします。

TL やあ、みんな!僕はポルトガル出身のTee Lopesだよ。何年かの間、趣味として「ソニック」をはじめとするゲームの曲をリミックスしてYouTubeで公開していたんだけど、幸運にも今は『ソニックマニア』の楽曲を担当しているんだよ!

瀬上 「ソニック」関連タイトルにはなじみがあったと伺っていますが、最初にプレイしたタイトルは何でしたか?

TL 友人の家でメガドライブバージョンは遊んでいたけれど、実際に初めて所有した「ソニック」のゲームはといえば、古代祐三氏が手掛けた素晴らしい楽曲が入っていたマスターシステム(※1)のものなんだよね。今でも、好きな「ソニック」のゲームのひとつで、僕の音楽の源のひとつさ!
(※1:日本ではゲームギア版としてリリースされていた『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』と同内容)

瀬上 また、特に音楽が印象的だったと感じているタイトルとその理由を教えてください。

TL これはとても難しい質問だなあ!大半の「ソニック」のゲームに共通しているといえるひとつは、音楽が素晴らしい!ってことなんだよね。

マスターシステムの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』と『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』に関しては、そのハードウェアの持つサウンドの性能による技術的な制約がありながら、楽曲担当者が音楽的に達成したものに対して、特に称賛したいと思うね!

瀬上 今回、『ソニックマニア』のゲーム開発は、文字通り「ソニック」タイトルの熱狂的なファンが行なっていることは、よく知られているところです。どういう経緯で本作の開発に関わることになったのですか?

TL ゲームの楽曲のリミックスをはじめたのは2008年のことなんだけど、長い話を簡単に話すと、のちに”PagodaWest Games”という会社を立ち上げることになる人たちが、僕のリミックスに気付いて、それで彼らと一緒に、楽しむためのプロジェクトに取り掛かったんだよね。

その後に、その会社が結成されて、自分たちのゲームを作り始めて、そして今回のプロジェクトに関わるような才能ある人たちにも出会ったんだよ。そして、彼らが『ソニックマニア』を開発するチャンスを得て、楽曲制作を僕に!って誘ってくれたのさ!

瀬上 昨年、アメリカ西海岸で開催された、「ソニック」の25周年を祝うアニバーサリーイベントには、あなたをはじめ開発スタッフが顔をそろえていましたが、本作の初露出を行なったときの盛り上がりは、期待どおりのレスポンスでしたか?

TL 素晴らしかったね!個人的には、すごく感動的な瞬間だった!トレイラーの映像が会場に流れて、人々が盛り上がって叫んでいたとき、「わお!コレは本当のことなんだ!みんなもすごく気に入ってくれている!」と実感したね!

でもまあ、実際のところは『ソニックマニア』が、しばらくの間、「ソニック」のファンが、待ち望んでいたものだ、ということは分かっていたから、そこまでは驚かなかったけどね!

『ソニックマニア』の楽曲について

瀬上 さて、ここからは内容のことを聞いていきたいと思います。今作では、新規のステージと新たな仕掛けを追加して一新した過去作の人気ステージが共存しています。まずはリ・イマジンされたステージの楽曲について、お聞きしたいと思います。どういう感じで作業は進行されましたか?

TL リ・イマジンされた大半のステージ曲に関しては、原曲の雰囲気を最大限に残して、「90年代のデジタルミュージック」的な感じでまとめてみたよ。 セガサターンのタイトルで耳にしたようなサウンドトラックを求められていたので、それぞれのトラックをモチーフにして、さまざまな時代の曲や異なるハードウェアを、ひとつのまとまった楽曲にすることを目指したんだ。

瀬上 楽しかった点、気をつけた点、苦労した点など教えていただきたいです。

TL 本当にこの開発チームは才能にあふれていて、日々、自分が手掛けた音楽と彼らの技術が合わさって、究極の「クラシックソニック」ゲームが出来上がっていくのを見ることができたよ。 すべての経験がとても楽しいものだったね! 細かいところに注意を払いながら何回も聴いてみて、楽曲が邪魔になったり、単調な繰り返しになっていないように心がけたよ。

一番難しかった部分は、タイトル画面のために記憶に残るメロディを作ることだったかな。 冒頭のセガのボイスロゴのあと、最初に耳にするものになるので、本当に特別なものにしなくては、と思っていたよ。 最終的なものに行き着くまで、何回か試したことを覚えているけど、なかなかフラストレーションがたまったね。 一番大変だった曲は最初のボス戦の曲で、最終的なものになるまで、何回手を加えたか分かりません!(笑)

瀬上 ちなみにリ・イマジンされたステージ曲の中で、一番の自信作はどれですか?アッピールポイントも含めて教えてください。

TL どの曲がベストか分からないけど、”Metallic Madness Zone”は特別だね。 自分で歌詞を書いて、ラップパートを加えたんだけど、それらは自分にとって長年の情熱 としている事なので。 そのレコーディング 自身 も、また典型的な楽曲制作を離れて違ったことをやる、という意味で 楽しかったなぁ〜!

瀬上 次に新規ステージの楽曲に関して、話を聞かせてください。どの曲から手掛け始めましたか?

TL “Studiopolis Act.1”が、最初に聴かせた曲だね。

瀬上 その曲作りとプロジェクト側に承認されるプロセスはどういう感じだったのでしょう?イメージした曲になるのに苦労した場所はありましたか?

TL 最初は、日本版の『ソニックCD』で聴かれるようなスタイル(※2)をエミュレートしたいと思っていたけど、メガドライブの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』とその続編をプレイして育ったこともあって、僕の心は自然とその影響に傾いていたね。

“Studiopolis”の曲がカタチになるのは早かったんだけど、開発チームにすごく気に入ってもらえて、他のステージの曲の方向性を決めたりする指針になったね。 “Studiopolis”の曲に関しては、特に大きな変更は加えらなかったので、最も楽に手掛けられた曲だったかな。
(※2:日本版・欧州版・北米版のうち、北米版だけ収録楽曲が異なる)

瀬上 新規ステージの楽曲で、過去のソニック楽曲を意識したものはありますか?聴いているとニヤリとする部分があったりしますが、それは「マニア」だから「マニア」に楽しんでもらうために入れ込んだもの、ですか?

TL もし、みんなをニヤリとさせられたら、僕の使命は果たされたことになるね! 良い楽曲を作ることが優先事項だったけど、熱心なセガファンにニヤリとしてもらうために、大半の曲には、他の「ソニック」タイトルから、ちょっとしたフレーズを引用したりしているんだけど、中にはセガの他のゲームタイトルからピックアップしているものもあるよ!

瀬上 新規ステージの楽曲の中で、一番気に入っているものはどれですか?先ほど同様、アッピールポイントも含めて教えてください。

TL マニアの開発チームが表現しているものすべてが好きだけど、個人的には、楽曲制作者として特にリラックスできて、本能的な感情からわき上がったものをカタチにすることができたことから”Titanic Monarch Act.2”だね!

Tee and Falk at the studio

瀬上 本作のサウンドは最初から最後まで、ご自分で仕上げられたのですか?

TL 作曲やリミックスに関してはすべて自分で手掛けていたんだけど、それぞれの楽曲のミックスとマスタリングに関しては、Falk Au Yeong氏が担当したんだ。 彼は素晴らしいアーティストで 、彼に手掛けてもらったことにより、大きなクオリティアップになったし、彼をチームに加えてもらってとてもうれしかったよ。

瀬上 本作が世に出ることによって、期待することはありますか?

TL ファンのみんなには、『ソニックマニア』を大いに楽しんでもらいたいし、「ソニック」シリーズには新しいドアが開かれることを期待しているよ! 今後の「ソニック」タイトルに取り組むことができたらうれしいね。

瀬上 最後に『ソニックマニア』を楽しみに待っているマニアの方々に一言お願いします。

TL まず『ソニックマニア』を取り巻く、すべての興奮についてファンのみなさんに感謝しています。 皆さんに多くの期待とともにサポートをいただいたことは 開発チームにとって、 大きな励みとなりました。 私が『ソニックマニア』の楽曲制作を楽しんだのと同じくらい、本作を楽しんでいただければと思います。そうすれば、物事がシンプルだったあの頃のような気持ちになれるのではと思うのです。

Tee and Jun at the studio

瀬上 本日はありがとうございました!

TL こちらこそありがとう!


というわけで、Tee Lopesのインタビューを楽しんでもらえたでしょうか?熱心なファンならではの視点で作られた楽曲は、どれもこれもキャッチーで耳に残ること間違いなし!僕のお気に入りナンバーも"Studiopolis"!『ソニックマニア』は現在好評配信中です。ぜひ遊んでみてくださいね!

それでは、また次回...
See Ya!!