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ソニック & ベクター

「おうソニック!相変わらずのご活躍だったみてぇだな、この色男!」

抜けるような青空が広がる、ある日の午後。真っ白なしっくいの建物が立ち並ぶ、白亜の港町「アポトス」。

広場の真ん中で、エッグマンのロボットの残骸の山に座ってアクビをしているソニックに、陽気ながなり声がかぶさってきます。声の主は、巨漢のワニのスゴ腕探偵......ベクター・ザ・クロコダイルでした。

先ほどのエッグマンのロボットの襲撃から、いまだ騒ぎの収まらない町と人々。 それを見やりながらソニックはため息をつきつつこたえます。

「そりゃどーも。でも今は色気より食い気だぜベクター。チリドッグ屋がまだ営業再開してなくってね」
「ハハハ違えねぇ。俺様もここが襲われたって聞いて駆けつけたンだが......働かなくてもハラだけは減りやがる」

......白い街並みの赤い夕暮れ時。ようやく騒ぎがおさまると、ソニックたち2人は集まった町の人たちからの相談を受けました。 聞けばアポトスはこの数カ月間ずっと、数日おきにエッグマンのロボットの襲撃をうけているのですが、その理由が全くわからないというのです。

内心「オモシロそうなことになってきたな」と、心の中でニヤニヤしだしたソニックの横から、ベクターが満面の笑顔で踊り出ます。

「その謎解き依頼、このベクター様に預けとくんな! 安くしとくぜ! 報酬は今までの飲み食いのツケの棒引き!俺様の実力は誰もが知っての通りだろ?......なあソニック?」

とつぜん話を振られたソニック。 ポカンと聞いていた町の人たちもソニックに目を向けます。

「What!? ......ええと、まあ、オレの知ってる探偵の中では一番かな」

後に続けた「......他の探偵を知らないけど」の部分をかき消しつつ、ベクターが上機嫌で請け合います。

「おうともよ! カオティクス探偵事務所所長、このベクター様に解けねえ謎はありゃしねえ!」

ソニックは肩をすくめて苦笑い......ともあれ、アポトス襲撃事件の調査がスタートしたのでした。

翌朝から上機嫌で周辺調査を始めたベクター。

大丈夫かなあ、という表情でついていくソニックを尻目に、聞き込みをしながら、道に残されたロボットの足跡をニヤニヤしながらトレースしていきます。

半日ほどかけて全ての足跡をチェックして雑貨屋さんの前で立ち止まると、ベクターが神妙な顔つきで推理を始めます。

「この店が臭うぜ......ロボットどもの臭え足跡が、みンなここの前を通ってやがる...... 聞き込みによると、襲撃は晴れた日のみ......ロボットは皆壊れかけ......なるほど読めたぜ!」

目を見開き、叫ぶベクター。

「この店のチリドッグが、ロボットを誘惑するほどウマすぎるからだ!」

「What!? なんでそうなるんだ!?」

「この雑貨屋『波間のかもめ』が実は隠れたチリドッグの名店なのは、通の間では周知の事実。晴れた日にゃあ行列もできるほどだ。大量に作るからうめえ匂いが広がる。壊れかけで今にもブッ壊れそうなロボットだって、この匂いにゃついつい釣られて、冥土の土産にと集まって来るって寸法よ!」

「......モノを食べないロボットが、どうしてそんなコト考えるんだよ?」
「そこがエッグマンのロボットのあさましさってヤツよ!」

いぶかしむソニックの横をすりぬけ、戸口に出てきた店主のおじいさんへの挨拶もそこそこに、勢い任せで家宅捜査を始めるベクター。

「おお~流石は雑貨屋!雑多なモンがゴマンと並んでやがるぜ。日用品に土産物、あっちにゃ石やら骨董品と......おっとコイツはチリドッグ!やっぱりいやがったなこの野郎!」

慌てるおじいさんを調子の良い口八丁でいなしながら、店中をひっくり返して回るベクター。そして窓際にある黒ずんだ石に目を留めると一瞬目をつぶった後、それをコッソリと懐にしのばせつつ、次は両手でチリドッグを掴んでバクバクと食べ始めます。 そして......

「やっぱりウマい! 犯人はじいさん、アンタだ!」

さすがに雑貨屋さんのおじいさんも怒り出し、店を追い出されたベクターはほうほうの体で町の外へと逃げ出します。

「いいかげんにしとくれ!」
「お、俺様の名推理がぁぁ!」

とはいえ、ベクターのメチャクチャな推理に終始呆れ気味なソニックでしたが、何かちょっと引っかかりがありました。

「アイツ......もしかして、アレを盗るためだけに一芝居打ったんじゃ......?」

......青い月明かりに映えるアポトスの町並み。 それを見下ろす小高い丘に、不敵な笑みを浮かべて一人立つベクターの姿がありました。 右手には、何かチカチカ光る物を持っています。

そこに集まってくる多数のエッグマンのロボットたち。旧型で、多くは壊れかけて動きもぎこちなく統率も取れてはいませんが、明らかにベクターを敵とみなして距離を縮めてきます。

「やっぱりコイツが原因だったってワケかい?」

手に持っているのは、雑貨屋から拝借したあの黒ずんだ石。 せき払いの後、ゆっくりと響き渡るがなり声で種明かしを始めるベクター。

「コトの始まりは、雑貨屋さんのじいさんがコイツを拾ったことだ。時々、一定のタイミングで七色にチカチカ光る、変わった石ころだ。もしやと思って持ち帰って調べてみたら......どうもコイツは、何かのトンツー信号の繰り返しになってたみてえでな......」

ベクターを取り巻く幾十ものロボットが、その取り巻く輪をせばめていきます。

「俺様はそれが偶然、旧型のエッグマンのロボットを引き寄せる信号と一致したんじゃねえかとヤマを......いや推理をしたわけだが大当たりだったみてえだな。今日みたいに晴れた日には遠くからでも良く見えただろうぜ?
つーワケで犯人はてめえだ......!カオスエメラエルドさんよ?」

右手で夜空にカオスエメラルドを掲げるベクター。

それを合図にしたかのように、ロボットの大群が全方向からベクターに襲いかかりますが......その全てを、青い残像が一瞬で一掃します。

虚空で爆ぜるロボットたちの大爆炎をバックに、へっと笑うベクター。一瞬間の後、音もなく降りたつソニック。

「やっぱり来ていやがったなソニック。......まあ、聞いての通りよ」
「あのバカでかい声の解説が、独り言じゃなくって安心したぜベクター」

......雑貨屋でベクターが拝借した「アレ」がカオスエメラルドだと直感したソニックは、彼自身で独自に動き、ベクターの動きも追っていたのでした。 しかし、そんなソニックにもわからないことがあります。

「なんで何にも説明しないで出ていったんだよ?」
「なんでっておめぇ......襲撃の原因が自分だって町のみんなに知れたら、じいさん気まずいだろ? 俺様にだって人情があらぁな。
報酬は前払いでもらっちまってるし、俺様のかく恥の1つや2つ、どうってこたぁねえ」

ヒュー、と口笛を吹いて感心するソニック。 ベクターは、事件を解決した後のことまで考えていたのでした。ナルホドねえ、とつぶやいたソニックは辺りをゆっくり見回すと、大声を張り上げます。

「でもなベクター、町のみんなにだって人情はあるんだぜ? な、みんな?」

ソニックが合図をして振り返ると、いつの間にか町の人たちが2人の背後に集まっています。あの雑貨屋さんも一緒です。

『わたしの拾った石がみんなに迷惑をかけていたとは......』
『でも、こんなことでじいさんを責める人は、このアポトスにはいないよ!』
『そうだよ!』『そうだそうだ!』

おじいさんと、互いを思いやるやり取りの声があがります......どうやら一部始終を聞かれていた様子。

「な、なんで町のみんなが、ここに......!?」

「Sorry! 実はさ......。ベクターが雑貨屋さんからカオスエメラルドを盗んで逃げたからつかまえようって言って、みんなを連れてきてたんだ。」

「オイオイ、とんだ濡れ衣じゃねえか!」

「実際そうとしか見えないだろ? ま、偶然だけどみんながいる前で、謎と誤解がとけて結果オーライじゃないか」

「ぐぬぬぬ......!」
(コノヤロウ。俺様の種明かしをみんなに聞かせるためにバクチ打ったってのか!?)

ソニックは、町のみんなとベクターのこれからについても考えていたのです。

そうだ、コイツはこういう手合いだった。涼しげなヒーロー面して、時どき強引な手も使いやがる。借りを作っちまったナ、と苦笑するベクター。

......結局、原因のカオスエメラルドについてはソニックが預かることに。これでもう、アポトスがロボットに襲われる心配はありません。町の人たちが喜びに沸き立ちます。

その夜はそのまま事件の解決を祝い、二人の活躍をねぎらう宴が開かれました。山と積まれたチリドッグに、ソニックは大満足です。

さて、最初の数分だけ、ソニックに遠慮しておとなしくしていたベクターですが、ツケを棒引きにしてもらったうえ、みんなから「名探偵」とおだてられたベクターはすっかり上機嫌に。 思わずいつもの名調子が飛び出します。

「おう、まかしとくんな! カオティクス探偵事務所所長、このベクター様に解けねえ謎はありゃしねえ!」

ソニックは、サムズアップで応えるのでした。

「よっ、色男!」

ノリとON/OFFで、意外と意気投合?

巨大な口に太い腕。一見コワモテに見えて......実際そういうところもありますが、その実は義理人情に厚く心優しい大好漢。それがベクター・ザ・クロコダイルです。

ソニックやテイルスたちとはちょっとだけ何かが違う......いわゆる「ヒーロー」といった2枚目なイメージよりは、2枚目半?

親分肌と、意外に面倒見の良いその人柄で皆に慕われ、愛嬌とキャラクターで愛される......。そういった、かたっ苦しくないラフなヒーロー像が、彼の魅力でしょう。

そして、普段はラフで大雑把なスタイルですが「カオティクス探偵事務所」所長として、いざ推理で真実に迫るという時に見せる少々荒っぽいスゴ味のかっこよさも、ギャップがあって良いですよね。

ベクターの初登場タイトルは、セガの往年の名ハード機「32X」用タイトル「Chaotix(カオティクス)」!

今でもチームを組ん でいるエスピオ、チャーミーと共に大冒険を繰り広げるアクションゲームでした。

このタイトルでは、ソニックと言うよりはナックルズとの共闘が描かれ、独特の「リングパワー」を使ったバンジーアクションで「軌跡の島」を縦横無尽に駆け抜けました。

ソニックとの冒険では「ソニックヒーローズ」が大きいでしょう。

実際は、探偵稼業としてソニックたちとは別のアプローチで世界の危機を救う手助けをするのですが、最終戦ではソニックたちのもとに駆けつけ、最後の総力戦に挑みました!

さてこのベクター、ソニックとはどういう関係性があるのでしょうか。

ベクターはソニックの実力に対して一目置いているようではありますし、ソニックもベクター(というかチームカオティクス全員)には、そのノリに戸惑うことはあれど、やる時にはやると信頼をしていますし、またそのノリについても実は嫌いでは無いように見えます。

もともとが自由気ままで気張らないのが大好きなソニックです。時には男同士のくだけたノリで、意気投合することもあるんじゃないでしょうか。

今回のストーリーでは、そんな2人が「お前って意外と...?」というポイントを知って、お互いにちょっと認め合う......そんな一幕が繰り広げられました。

普段は別々の場所やシチュエーションで活動していても、イザという時に合流すれば本気パワーON!最も頼れる仲間の一人に。リラックスしたOFFの場では気のおけない悪ふざけもできる友達として、これからもソニックとベクターは時々つるんでいくことでしょう!

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キャラクター紹介

→ソニック・ザ・ヘッジホッグ
→ベクター・ザ・クロコダイル