異世界大喜利 2023年5月【ベクターとヴァニラは何を......?】
★作例
「5個くれ!」販売列にドヤ顔で颯爽と割り込んできたのがお父さんだった件
毎月2人のキャラクターが驚きの装いとシチュエーションで登場! 思わず空想が膨らんでしまうイラストで、一緒に大喜利を楽しみましょう!
今回はアメコミヒーローの様な姿のベクターと、ちょっぴりオトナの装いのヴァニラが登場!夜の街のはるか向こうに迫っている、謎の巨大ロボットは一体......?
皆さんだったらどんなセリフやナレーションをあてますか?
ゲームでの2人の雰囲気や世界観で整えるのもよし、大胆にアレンジして演出するのもよし! 作例では、何かを割り込みで5個も買おうとしている残念なお父さんとなっていますが...... そんな自由な大喜利ネタもOKです!
ぜひ楽しんで、Twitterの「#異世界大喜利」のタグと共につぶやいてみてください♪
良かったものについてはソニック公式Twitterアカウントからレスにてご紹介をさせていただきます。
みなさんの楽しい大喜利投稿、お待ちしています!
Act5:「わたしのベクターマン」
『ベクターマンお手柄!またしても街を救う!』
夕暮れににぎわう繁華街。謎のヒーロー『ベクターマン』大活躍の号外を配るニューススタンドを横目に、あでやかな服装でしずしずと歩く美しいウサギの女性の姿がありました。
彼女はヴァニラ。大人気バーの名物ママで、店は彼女の手料理目当ての客で連日大賑わい。そんな彼女が、その美しさには見合わない薄汚れた雑居ビルの一室に入っていきます。
そのドアにはマジックの殴り書きで「ベクター探偵事務所」とありました。
「娘は......お役に立てませんでしたか?」
小首をかしげ、憂いをたたえた瞳でヴァニラは口を開きます。問われた男はヨレたスーツを直しながら気まずそうに答えるのでした。
「いえ、お嬢さんはとても優秀です」
巨漢の男、探偵「ベクター・ザ・クロコダイル」は、ヴァニラの娘のクリームを助手にしていたのですが、先日彼女に暇を出したのです。ヴァニラはそれを考え直してもらうよう直談判しに来ていたのでした。
「何せ私の仕事はほとんど娘さんが......ゴホン!ともかく、探偵稼業は危険が伴うハードな仕事なのです」
すっくと立ちあがると険しい表情で窓のブラインドを指でたわませ、意味も無く夜景を見つめます。きまった......!と思ったベクターでしたが、それに構わずヴァニラは続けます。
「でもこの街は『ベクターマン』さんに守られていて安全でしょう? それにお仕事だってずいぶんおヒマでいらっしゃる様子...... うちの子はあなたと遊びたいだけでお給金だって要らないんです。どうか考え直していただけませんか?」
ゆっくりとそう言い終えると、悪意のかけらもない笑顔でベクターを見つめるのでした。
「べ、ベクターマンなんて、あんなのはインチキな都市伝説です。それに、私はしがない根無し草。いずれここを去る時が来るんです......イエ決して家賃が滞ってるからでは......」
動揺しつつも何とか渋く決めようとするベクターでしたが......
<< ぐぎゅるるる~...... >>
無情に鳴り響く彼のお腹の音が、その努力を全て無に帰します。
「実は、昨日から何も食ってなくて......」
第2第3の音を鳴らしながらへたり込むベクター。ヴァニラは優しい溜息をつくと、持ってきた大きな紙箱をテーブルに並べるのでした。
「召し上がってくださいな。うちの店で出してるお弁当ですけど」
「かたじけねえ!」
すぐさま手を合わせ、涙を浮かべながらガツガツと食べ始めます...... それを見たヴァニラはいったん出直して、ベクターにゆっくり食事をしてもらおうと思いました。
「ちゃんとご飯を食べないとダメですからね? お腹がすき過ぎると、心までひもじくなりますよ?」
ベクターには返す言葉もありませんでした。
翌日の夜。
「しゅ、襲撃だー!」
爆炎と怒号に包まれる街...... 突如現れた巨大ロボットが街を襲ってきたのです!逃げ惑う人々......そしてその真っ只中に、出勤途中のヴァニラの姿がありました。
そこにロボットが巨大な拳を振り下ろします。足がすくんで動けない彼女が目を伏せたその瞬間......!
<< ガキィィン! >>
重い衝撃音。
「もう大丈夫ですよ、奥さん」
無事に気づいて目を開けたヴァニラが見た物は......
目の前でロボットの拳を受け止め、真っ赤なマントで仁王立ちする正義のヒーロー『ベクターマン』の姿でした!
「へっ!デカブツロボットのタマゴ野郎が!」
ロボットの拳を振り払いダッシュするベクターマン。ロボットは巨大な足で2人を踏みつぶそうとしますが、ベクターマンは避けもせず......
「はああああっ!」
拳に集まる正義の閃光!
「ベクターのVは勝利のV!必殺!ビクトリー・パンチ!でぇい!」
<< ドカーーン! >>
光拳はロボットの胴体を貫き大爆発! そのまま彼が爆炎を背にカッコよく見得を切るかと思われましたが......
<< ぐぎゅるるる~...... >>
ベクターマンのお腹の音が響くやいなや、変身が解けて倒れ込んでしまいます。
「ハラ、へったぁ......」
駆け寄るヴァニラが目にしたのは、弱り切ったベクターの姿。
「はっ......やぁ奥さん、奇遇ですね」
今さらまだ正体を隠そうとするベクターに、ヴァニラもやや困惑しながら尋ねます。
「まさか......昨日のお弁当から何も......?」
ヴァニラが自分のお弁当を渡すと、無心でがつがつと食べ始めます。そして彼女は全てを理解したのでした。
ベクターマンの正体はベクターです。無報酬で街を守る彼が人知れず困窮していたこと、本人がそれを隠して独りで戦い続けていたことにヴァニラは心を痛めます。
クリームを遠ざけたのも、彼女に危険が及ぶと心配してのことに違いありません。
何とかしてあげたいと思うヴァニラの横で、ベクターが恥ずかしげに自嘲します。
「なさけねぇ...... やっぱメシはちゃんと食わねえと......はぁ」
その時。それを聞いたヴァニラの胸に素敵な考えが浮かびました。
「ベクターさん! ちょっとご提案があるのですけど......」
あの日以来、クリームは「お弁当係」として職場復帰。毎日ベクターの事務所に通っています。
ベクター(マン)が街とクリームを守り、クリームの手伝いを受け入れる代わりに、ヴァニラは栄養満点のお弁当を提供する。この約束はベクターとヴァニラだけの秘密です。
『ベクターマンお手柄!またもや街を救う!』
今日もテレビではベクターマンの活躍が報じられています。
最近心なしか顔の色ツヤが良くなった、彼の人気は急上昇。今ではクリームも大ファンで、お気に入り番組「ネクストショー」での特集コーナーをかじりつくように見ています。
そして時々、どうしてベクターマンはあんなに強いのとクリームから聞かれる度に、ヴァニラは得意気にこう答えるのでした。
「ちゃんとご飯を食べているから、かしらね!」
「一件落着なるも......」
男気あふれる金欠ナイスガイに、料理好きで優しい「ママ」。ベクターとヴァニラの性格は相変わらずだったが、彼らもまた異変の影響を大きく受けているようだ。
『ベクターマン』の力の源は一体......? あのベルトに何か秘密があるのだろうか?
襲撃してきたロボット兵器もどこから来たのか......新事実は増えても謎は深まるばかり。この状況を収めることは可能なのだろうか......?