異世界大喜利 2023年8月【ブレイズとシルバーは何を......?】
★作例
お帰り下さいませ、ご主人様!
毎月2人のキャラクターが驚きの装いとシチュエーションで登場! 思わず空想が膨らんでしまうイラストで、一緒に大喜利を楽しみましょう!
今回は装いも新たにブレイズとシルバーが再登場!メイドや執事には似つかわしくない高い戦闘能力と凄味!そんなふたりが互いに背中を預け、協力して立ち向かう敵とは......?
皆さんだったらどんなセリフやナレーションをあてますか?
ゲームでの2人の雰囲気や世界観で整えるのもよし、大胆にアレンジして演出するのもよし! 作例では、どんな迷惑客も追い返せそうな頼もしさがありますが...... そんな自由な大喜利ネタでもモチロンOKです!
ぜひ楽しんで、Twitterの「#異世界大喜利」のタグと共につぶやいてみてください♪
良かったものについてはソニック公式Twitterアカウントからレスにてご紹介をさせていただきます。
みなさんの楽しい大喜利投稿、お待ちしています!
Act8:「再会の魔法皇女」
<<ガッシャァァン!>>
ホテル併設の豪奢(ごうしゃ)な緋色のじゅうたんにぶちまけられる、大量の鋭利な窓ガラスの破片......!
2階吹き抜けの店内のガラス壁を、力任せになぎ払った化物の豪腕はなおも止まらず......床をえぐり、打ち上げた白いカフェテーブルを掴みバラバラにすると、それを1点に向かって投げつけました。
<<ドガガガガッ!>>
その恐ろしい破壊の投てきは、厨房近くに居合わせた哀れなウエイターを押しつぶすかに思われましたが......その全てはコバルトブルーに輝くサイキックのバリアに阻まれ、粉々になって四散します。
「営業妨害の化物!オレが排除してやるぜ!」
そう叫び全身にサイキックの緑光をたぎらせたのは、白銀の超能力ハリネズミ、シルバーです。
立ちはだかる化物は、オモチャやガラクタの寄せ集めでできた見上げるような巨漢のゴーレム。中空で黒いギャルソンエプロンをはためかせたシルバーが、化物に向かって「力」を振るおうとしたその瞬間......!
<<ドゴォォォン!>>
今度は紅蓮の炎の矢がシルバーの横をかすめて化物に命中。その巨体を吹き飛ばします。
轟音の後、火焔のベールを払いながらシルバーをかばうように降り立ち、上品な黒絹仕立てのエプロンスカートをひるがえして振り返ったそのメイドは、彼に向って眉ひとつ動かさずこう告げました。
「逃げろウエイター。一般人の出る幕じゃない」
......突然邪魔をされたあげく素人扱いされたシルバーは面白くありません。
「そういうあんたはメイドだろ? 一体何なんだ!」 「悪しき魔物から弱き民を守る者...... 魔法皇女ブレイズだ!」
「まほう、こうじょ......?」
一瞬キョトンとなったシルバーを置き去りに、化物のもとへ飛び込んでいくブレイズ。 慌てて追いながらシルバーはたまらず抗議するのでした。
「誰が、 "弱き者" だって!?」
化物との戦いは防戦一方。
ブレイズが振るう炎は確かに化物に命中しているのですが、それは化物の体表を削るばかり...... そしてその破片はまたすぐ不思議な力で引き寄せられ合体し元に戻ってしまうのです。
「まずはメイドとして潜入調査のつもりで来たのだが、いきなり戦闘に巻き込まれるとは......」
メイド服で思うように動けないブレイズは、思わず舌打ちします。
「オレもこの喫茶店に用心棒を頼まれて、ウエイターになって化物を待ってたんだが、これほどの奴とはな」
思わぬ強敵ぶりにシルバーも同意します。
「ていうかあんた、この店は制服支給だぞ? なんでメイド服持参なんだ?」 「そ、そうなのか? エミーが私にこれを着て行けと......」
意外な指摘を受けてたじろぎ、肩口のフリルをつまみながら顔を赤らめたブレイズでしたが......その間を取り繕うようにして振り返ったブレイズは、シルバーにこう言いました。
「わ、私の前をウロチョロ動き回らないでくれ!邪魔になって火力を集中できない!」 「攻撃なんて効いてないだろ? 回復のトリガーになってる弱点を探すのが先だ!」
ついには戦闘そっちのけで口論が始まってしまいます。 そしてその隙を化物は逃しませんでした......
<<ズゴンッ!ドゴゴ......!>>
化物はゆっくりと......深く力をため、両拳を上に突き上げて渾身の一撃を天井に向かって放ったのです。その衝撃は喫茶店階の天井を、そのまた上の階の天井をホテルの屋上まで貫き大崩落を引き起こしたのでした。
恐ろしい重量のガレキの大瀑布が、落下に伴いその濁流をいや増しながらブレイズたちに襲いかかります。2人が気付いて顔を上げた時、全てはもう手遅れに思われましたが......
その次の瞬間!
「ハァァッ!」
シルバーが一瞬でブレイズの頭上へと跳び、彼女をかばうように両手を広げサイキックバリアを展開......! 襲い来る大崩落を逸らし弾くと、それをオトリにして粉塵の中からシルバーを襲った化物の攻撃をブレイズが体当たりで弾き返し、同時に周囲の粉塵を爆炎で吹き飛ばします。
......これがまさに一瞬、何の示し合わせもない完璧な連携です。あわや危機一髪な状況に息を整えながら、ようやっと2人は口を開きました。
「体が勝手に動いた......どうもあんたとは初めて会った気がしないな」 「......ああ」
そして態勢を立て直し、体を復元させながら2人に迫る化物を見ながら、ブレイズは真剣な面持ちでこう続けたのでした。
「私は2つ間違いをおかしていた。1つ目は敵を侮り、万全の準備をせずここに来たこと」
さらにそのままの姿勢で、今度はシルバーの目を見て続けます。
「ウエイター。20秒を私にくれないか......頼む」 「構わないけど...... その前に2つ目の方も聞いていいか?」
一瞬の躊躇の後、それでもブレイズは毅然とした表情で答えました。
「2つ目は、頼るべき仲間を軽んじ、非礼をはたらいたことだ。その......」
すまない、と言いさしたブレイズの言を遮り、シルバーはブレイズの頼みを請け合います。
「いいんだブレイズ、お互い様だ!いいぜ。20秒でも200年でも持ちこたえてやる! ......で、オレも1ついいか?」 「......?」
「オレの名前はシルバーだ」
次の瞬間、たちまち灼熱の炎に包まれるブレイズ。目をつぶっての精神集中......彼女が何か大きな力を制御しようとしていることをシルバーは直感します。
「シルバー、感謝する。......はぁぁぁっ!」
何か......状況を変える一撃を、ブレイズは無防備な姿をさらすリスクを承知で放とうとしているのです。その期待と信頼がシルバーを奮い立たせました。
「やってやるぜ!ハァッ!」
全力のサイキックエネルギーを全方向に展開するシルバー。このフロア中のガレキをホールドし、化物の復元を妨げながら、同時にあらゆるものをサイキックでぶつけてけん制攻撃......!ブレイズの身を守ります。
ですが、動かない物を守っての長期戦は不利なものです。来た攻撃は全て避けずに受けて耐えねばならないため、結局はジリ貧になってしまいます。
それを手数で攻撃させないようにして乗り切るのがシルバーの作戦でしたが......化物も作戦に気付いたのか攻撃をさらに激化させます。
20秒とは、なんと長い時間なのでしょう。いつまでしのげばよいのか......被弾が重なりシルバーの膝が落ちかけたその時......!
<<ドォォーン!!>>
大音声の爆炎が広がると、目も開けていられないほどのまばゆい炎に包まれたブレイズがついにその力を解放......化物を吹き飛ばしました。準備が整ったのです。
「はぁぁ......! 神秘の太陽よ、我が炎の力に応えてくれ......!」
ブレイズのポシェットにあしらわれていた7つの宝石が、彼女の力の昂ぶりとともに1つずつ炎を宿して光を増していきます。
化物が捨て身の全力攻撃をかけようとしたその時、彼女に全ての力が爆縮......ブレイズは大いなる力の執行を宣言したのでした。
「 魔法皇女ブレイズ!バーニング・アンリミテッドモード! はぁぁぁ!」
幾重もの7色の炎の衣を身にまとい、灼熱の一柱と化したブレイズ。巨大な炎の翼が一瞬、彼女の背に広がったかと思うと、それはたちまち四散して彼女がつき出した両腕に凝縮......! すさまじい炎の奔流となって化物に向かってほとばしります。
「はぁぁぁっ!」 「ハァァァッ!」
化物も防御姿勢で抵抗を試みますが、炎の反動に押されるブレイズをシルバーが背後から支えて威力をいや増すと、もはや耐え切れません。
化物を形作るもの全ては吹き飛ばされ、その中心にあったエネルギー体は大爆発を起こしたのでした。
<<ズドォォーーン!>>
遠い天空の島まで響くような大轟音の爆発。化物はついに消滅したのでした。
「チャオ、チャオーーー!」
爆発の粉塵がようやく消え去った後...... 化物の爆発跡には、わんわんと泣く小さな光のチャオの姿がありました。
化物の正体は、チャオの残留思念だったのです。
ブレイズ達が見守っていると、やがてその光のチャオはボロボロになった床に開いた穴を見つけ、そして何かに気付いたかのように喜んでその中に入って行きます。
「......?」 「これは!?」
2人がチャオを追って見てみると、なんと喫茶店の地下......床の下には、清流も豊かな緑の庭園が広がっていたのです。
そして光のチャオはその中に進んで辺りを見渡すと、満足そうな笑みを浮かべて淡い光となって消えていったのでした。なるほど......と2人。
「この喫茶店を作る時に、チャオ達の住み家をふさいじまって......」 「あの化物は、故郷に帰りたいチャオ達の怨念の塊だった、ということだな」
ことの経緯が腑に落ちた2人は一件落着の表情をしつつも......周囲の惨状にため息をつきます。辺りは完全に破壊され、あの素晴らしい内装は面影もありません。
「さて、一応事件は解決したわけだが......店を派手に壊しちまったから片づけをしないといけないんだよなあ」
思わせぶりな口調のシルバーに、ブレイズは苦笑しつつも穏やかな物言いで答えるのでした。
「わかった。何をしたらいい?」
上から差し込む光に2人が顔を上げると、崩落した天井の穴から見えたのは絵画の様に美しく切り取られたまぶしい青空。それは2人の心の晴れ渡りを映し出しているかのように、澄み切った光に満ちていたのでした。
「1か月後......」
大改修の後、あの不思議なチャオの庭園をオープンカフェエリアとして繋げたこの店は、格式とチャオフレンドリーな暖かみを合わせ持ったメイドスタイル喫茶「チャオガーデン」としてリニューアルし、大評判を博していました。
そこで店の立て直しを手伝っているシルバーとブレイズが忙しく働いていると、思いもかけない来客が現れます。一目見るや、接客もせずに硬直する2人......
「ソ、ソニック......!?お前ソニックか!?」 「あんたら何でそんな恰好......って、オレたちも!?一体どうなってるんだ!?」
ソニックを見た瞬間、ブレイズとシルバーが元の記憶を取り戻したのです。
「Hey!オマエたち......!」
ソニックもこれには驚きましたが、テイルスはこの時ソニックたちの持つカオスエメラルド......が変異した装飾品と、ブレイズのシッポのジュエリー、シルバーのペンダントが、同時に淡く光ったことを見逃しませんでした。テイルスが考えこんでいる間に、2人は異変前後の記憶をたぐります。
「私はソルエメラルドの導きによってこっちの世界へ来た瞬間、あの光に巻き込まれた」
と、ポシェットの7つの宝石をなでながらブレイズ。一緒についてきたマリンはどうしたろうと思案します。
「オレは直前までエッグマンの基地で戦ってた。何かの兵器を起動しないようにしてたんだが......」
うまく思い出せないと頭を抱えるシルバー。
「それにしても、2人はどうして記憶を取り戻せたんだ?」
と言うソニックに、テイルスが自慢の「エネルギー感知器」を取り出して説明をしました。
<<ピピピ......>>
「やっぱり!ブレイズのシッポのジュエリーとシルバーのペンダントは、カオスエメラルドが変異したものだよ!ボクたちのと同じようにね」
発するエネルギーの波長から、それらが間違いなくカオスエメラルドであること、それが2人が記憶を取り戻した時に間違いなく光ったのだと、テイルスは説明します。
「現象として、ともかくカオスエメラルドはこの異変に抗う力があるんだ。そして1つでは足りないけど複数が近くにあって、その内の誰かが元の記憶を持っている......それが復活の条件じゃないかと」 「確かにそう考えて問題なさそうだな。流石だぜテイルス!」
ソニックにほめられてはにかむテイルスに、ブレイズとシルバーも応えます。
「エメラルドは危機の際、互いに不思議な力で引き合う事があると聞く。私のこれは、エミーから星の導きだので無理やり持たされたものなのだが......これもそういった力の1つなのかもしれないな」 「確かにな。こうして4つも簡単に集まるなんて......って、あれ? おかしくないか? だったら1個ずつしか持ってないソニックとテイルスはどうして無事だったんだ? 」
当然の疑問に、3人の視線がテイルスに集まります。
「それは...... 異変が起こった瞬間、ボクとソニックはそれぞれカオスエメラルドを持った状態で2人一緒にいたんだ。だから初めから効きが悪かったんだと思う......た、たぶん。ごめん、確証は......」
推論の上に推論を続けて自信がなくなってきたテイルスでしたが、ソニックは笑顔で大きく請け合います。
「つまり、オレが無事だったってのもテイルスのおかげだし、その逆もそうってことだろ? オレ達らしくって最高じゃないか!これで決まり!」
困惑しつつ、大いに照れた表情のテイルスを見ながらブレイズとシルバーも賛同します。
「うむ。細かい真偽はこの際、より良い解釈をもって進めるのが良いだろう。なにより肝心なことは......」 「仲間を元に戻す方法が分かったってことだ!」
「YES!その通りだ!」 「そうだね!」
ようやく調子を取り戻したテイルスは、仲間にてきぱきと作戦の提案を始めるのでした。
「......ブレイズとシルバーにも感知器を渡すよ。これで手分けしてカオスエメラルドを持ってる仲間を見つけて復活させよう! そして最終的にはカオスエメラルドを7つ集めるんだ。きっと切り札になると思うからね」
「わかった。あんたの作戦に賛成だ。その後のことは後回しだな」 「了解だ。私のソルエメラルドもそうすべきだと言っている」
淡い炎の光を発して、うなづくように震えるソルエメラルドをなでながらブレイズも賛同します。
面白くなってきたぜ、とソニックがいつもの口調で立ち上がると、残りの3人も不敵な笑顔で出立の準備にかかります。
「エッグマンのやつめ。何をやらかしたか知らないが、絶対にオレ達の手で追い詰めてやるからな!」
また一歩先に進んだソニックたちは、新たな希望という武器をその手に、さらなる一歩に向けて足を踏み出したのでした......!