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異世界大喜利 2023年9月【ルージュとオメガは何を......?】

★作例

詫びが30%足りないと言われた

毎月2人のキャラクターが驚きの装いとシチュエーションで登場! 思わず空想が膨らんでしまうイラストで、一緒に大喜利を楽しみましょう!

今回は凛とした着物で生け花に取り組むルージュと、神妙にそれを見守る袴(はかま)姿のオメガが登場!鋼鉄の花を美しく生けるルージュの目的とは......?

皆さんだったらどんなセリフやナレーションをあてますか?

ゲームでの2人の雰囲気や世界観で整えるのもよし、大胆にアレンジして演出するのもよし! 作例では、独特過ぎる指示をどう表現すべきか四苦八苦していますが...... そんな自由な大喜利ネタでもモチロンOKです!

ぜひ楽しんで、Twitter(X)の「#異世界大喜利」のタグと共につぶやいてみてください♪

良かったものについてはソニック公式Twitter(X)アカウントからレスにてご紹介をさせていただきます。

みなさんの楽しい大喜利投稿、お待ちしています!

Act9:「アタシらしく」

......かつて戦国の世。

天より飛来せし禍々しい鉄の箱舟が放ちし凶光。 紅紫の光より暴れ出でしは、鉄(くろがね)のあやかし「からくり花」。

鋭利な葉は鎧をも断ち、熱花の蕾からは業火をふりまく......荒れ狂うからくり花に、世の民草は戦々恐々。

そのからくり花の動乱をただ一人で制圧せしは、最強の誉れ高き武人......名をオメガといふ也。

ひたすらに死闘を求める花の生き様に「美」をも見出し、からくりの武士として生け、命を持たせたそれを創始者オメガは「戦華」と命名せし候。

之こそ戦華同士で試合わせ、勝利した方を真の美とする「オメガ流戦華道」の始まり也。


そして時は現代......

数百年の歴史を誇るオメガ流戦華道。

その修行の厳しさから未だに一人も皆伝者は現れておらず......その数多の弟子の中に、新進気鋭のコウモリ美人、ルージュ・ザ・バットの姿がありましたが......?

<<ドガガガガッ!>>

「そんな!重火器花3段盛りなんて反則よぉ~!」

「戦華道、ヒトたび始まれバ、戦場に違反も反則もなイ」

オメガの戦華から放たれる砲弾の雨に、ルージュの戦華は為す術もありません。

火砲系からくり花をふんだんに生け、猛攻を続けるオメガの戦華は圧倒的。 とどめに鋭い葉の一撃を振るうとルージュの戦華は真っ二つ。 あっけなく勝敗は決しました。

ルージュの戦華道は美に始まり美に終わります。

自らもあでやかな着物に身を包み、戦華に次々と指示を与え人花一体となって華麗に戦い、それで試合後には寸分の着崩れも無い。それが彼女の流儀です。

今やオメガ流の弟子でルージュに敵う者はいませんでしたが、オメガの前にはただその花葉を散らすだけ......今日の練習試合も散々たる結果だったのでした。

落ち込むルージュを見かねてか、オメガは懐から強い輝きを放つハサミを取り出して見せます。

「ミッション報酬を開示」

「それって......!」

それは、皆伝者のみに授与される「金剛石の花ばさみ」。

本当のルージュの目的はこのハサミを手に入れること。 これこそが、彼女のこれまでの努力の原動力だったのです。

持ち手部分にあしらわれた大粒のダイヤのきらめき...... 何と美しいのでしょう。思わずため息が漏れます。

「一層精進セヨ」

普段お目にかかれない至宝を見て一瞬元気を取り戻したものの、オメガの一言で現実に立ち返ったルージュは、またがっくりと肩を落とすのでした。

......とぼとぼ歩く、黄昏の帰り道。

ハサミのため、これまで柄にもなく努力を重ねてきた修行の毎日......走り続けてなお遠ざかる到達地点。 ルージュは絶望に大きなため息をつきましたが......ある違和感に、ふと立ち止まります。

そう、今の自分はとても「柄じゃない」。何をこんなにマジメになっているのだろう?

見上げた月を凝視して数秒か数分...... ルージュは小さく短いため息をつくと、イタズラっぽい笑みを浮かべました。

「アタシらしく、華麗にいただいちゃえばいーんじゃない?」


数刻後。ところ変わって、かつて天からの「箱舟」の墜落地を封鎖して作られたという、からくり花の生地「紅玉苑」。

そこには重火器を乱射してからくり花を刈るオメガと、それをサポートするルージュの姿がありました。

<<ズガガガガガ......!>>

紅玉苑は単なる「からくり花の産地」ではありません。 どう猛なからくり花を閉じ込める隔離施設でもあり、定期的に「間引き」が必要なのです。

ルージュはその手伝いを条件に、奥に安置されたあのハサミをもう一度見せてもらう許可を得たのでした。 目的は保管セキュリティの下見に他なりません。

「焼却!伐採!からくり花ハ 程ヨク排除スル」

襲い来るからくり花を次々となぎ倒していくオメガに、ルージュは彼の戦華道を見て思わず苦笑します。

そして辿り着いた紅玉苑最奥......

そこには屋根付きながらも吹きっさらしの東屋(あずまや)に憧れのハサミが安置され、燦然と輝いていました。

暗がりでも色あせない圧倒的存在感。 氷のように透き通る刃はわずかな光を乱反射して虹色に光っています。 無防備に置かれたハサミにルージュが思わず手を伸ばすと......

ハサミの両側に配置された隠し戦華が起動! 一瞬でツタを伸ばしハサミを覆い隠してしまいました。

「厳重なセキュリティに守らレてイル」

「ふぅーん」

神妙に、感心したように見せたルージュでしたが......彼女からすれば、こんなセキュリティは子供だまし。 簡単に突破できそうに思えました。
オメガのもとを辞去した帰り道でも、ルージュはニヤニヤしながら歩みを進めています。警備の下見はもう充分。もう今夜にでも忍び込んで......と、そう考えたまさにその瞬間......

今度は、これまでの苦労とオメガに負けたままの悔しさが、今になって胸にこみ上げてきたのでした。

「......フン」

負けっぱなしでヘラヘラするのも、やっぱり自分の「柄じゃない」。

ハサミは欲しいしオメガにも勝ちたい。 欲張りなアタシは、どっちも諦めることができない!

どうすれば良いか......

ふと空を見上げたルージュは、オメガが銃撃で間引いたはずのからくり花が軽やかに空を舞っているのに気付きました。 差し向かいで戦う戦華には不向きとされる飛翔タイプのからくり花ですが......

「意外と飛ぶものね」とつぶやいたルージュはその瞬間、大きなひらめきを得ます。

「......これよ!」

ルージュはそれを一本わしづかみにすると、ウキウキと家路についたのでした。


皆伝試験当日。
紅玉苑の中央、古の「箱舟」遺跡のふもとの道場最奥部......

12畳と3分敷きの壮麗な大広間にて、ルージュとオメガはそれぞれの戦華を粛々と、そして苛烈に生けていました。そして......

<<ブォオ~!>>

試合開始を告げるホラ貝の音色。

<<ブシュウウウ!>>

開幕一番、煙幕種子をはき出し視界を妨害するルージュの戦華! 同時に防御姿勢で身をかため、オメガの猛攻に備えます。

「煙幕ジャミング視認。問題ナシ」

オメガの戦華はそれを意にも介さず、上空からの面制圧砲撃を降り注がせます。

<<ドガドガドガッ!>>

煙幕の中で耐えるも、確実に疲弊していくルージュの戦華。 が......煙が晴れた瞬間、眼前に映った光景にオメガは驚愕します。

そこにはルージュの戦華が2つ......うち1つはあの「金剛石の花ばさみ」を高々と空に掲げていたのでした。

「ソレハ!?」

「紅玉苑のセキュリティは対人専用...... 読み通りだったわね! お宝はイタダキよ♪」

ルージュは開幕一番、あの煙幕に紛れて戦華を分離させ、飛翔からくり花を使った分体にハサミを盗み出してくるよう指示を出していたのです。

「リカイ、フノウ......!」

予想外の出来事に目を点滅させるオメガ。そこに一瞬のスキが生まれました。

<<ガッキィィン!>>

ルージュの戦華の渾身の一撃がオメガの戦華の急所を貫き、致命傷を与えます。

「承認不可!試合規定違反!反則ダ!」

「あらぁ?ひとたび試合が始まれば違反も反則もなかったんじゃないの?」

その直後、彼女の2つの戦華は葉で飛翔し空中で合体。ハサミを上段に構えるとオメガの戦華を射程に捉えます。

「何でもやって、欲しい物は全て手に入れる......! それがアタシのオメガ流よ!」

オメガが次に目にしたのは、一糸乱れぬたたずまいで戦場を見つめるルージュの凛とした正座姿と...... それを背にオメガの戦華をハサミで一刀両断する、ルージュの戦華の勇姿でした。

<<―――キィン!>>

「......見事ダ」

静寂する道場。 ......ここに、新たな「美」が誕生したのでした。


「ルージュを、免許皆伝とスル」

「やった!そう来なくっちゃ!話がわかる家元って好きよ♪」

ハサミと免許皆伝書を手に、少女の様にはしゃぐルージュ。 ハサミは試合中に盗んだものでしたが、今や純然たる彼女の物です。

しかし......悲願を達成したルージュは、最早ここに留まる理由がなくなってしまったことにも気付くのでした。

「ま、アタシは肩書とかにはキョーミないし......いただくもの貰ったらこんなしみったれた道場にはオサラバね」

そう呟き、歩き出しかけるルージュでしたが......その心の内を読んだかのように、オメガは懐から何かを取り出します。

「2ツ目のミッション報酬。紅玉石の花バサミ......」

燃えるようなルビーの輝きはルージュの心を射止め......すばやく振り返った彼女は、一瞬でオメガの元にすり寄るとこう言うのでした。

「......詳しく聞かせなさいよ」

オメガ流に伝わりし「伝説の七バサミ」。

新たな師範代ルージュは「紅玉苑」の封印の責務の一端を担い、全てのハサミを手中に収めるまではと、時にオメガといがみ合いつつも互いの美を高め合い研鑽を重ねたという......

之すなわちオメガ流戦華道、黄金期始まりの一幕也。

「紅玉を辿って......」

「戦華バトル面白かったなテイルス! ルージュもオメガも最高にクールだったぜ! やっぱアイツらはああじゃなくっちゃな!」

紅玉苑の茂みの陰から思いがけない名勝負を見ていたソニックは上機嫌。 メカ好きのテイルスも続きます。

「そうだねソニック!それにしても『からくり花』はエッグマンのメカが異変化したものみたいだけど、どういう仕組みで作り手の命令を理解してるんだろう? ......と、それより......!」

重要な事実に気づいたテイルスは、真剣な表情に戻ると、手にしたエネルギー検知器の数値をソニックに見せます。

「見て!このエネルギー反応。 このエネルギー波長は......ファントムルビーのエネルギーの余波だよ!」

......『ファントムルビー』。

それは生き物の頭脳に働きかけ、強力な仮想現実を植え付け世界を捻じ曲げる力を持った謎の石です。 以前のエッグマン軍との戦いの後失われ、この世界から消えてしまったはずですが......

「エネルギーは、この植物園からあらゆる方向に向けて発せられてる。 余波でこれだけ大きな反応ってことはきっと世界中に......つまり......」

ひらりと跳躍して、紅玉苑の中心にある「箱舟」の上に降り立ったソニックは、ニヤリと笑ってこう続けました。

「この箱舟が異変の爆心地......ってコトか」

不穏な風が吹き抜け、足元のからくり花の葉をざわつかせると、すでに箱舟の中で調査をしていたテイルスがさらに続けます。

「うん!この箱舟もエッグマンの戦艦が異変化したものだったよ!
コンデンサーのような部品を見つけんたんだけど、強力なエネルギー反応が残っていたんだ。 きっと前の戦いの時に、発動一回分のファントムルビーのエネルギーがチャージされたままに残ってたんだと思う......
エッグマンはきっと、これを何らかの形で最大限有効活用したんだ!」

興奮しながら一気にまくし立てるテイルス。 ですが、でも......と、また肩を落とします。

「でも、今世界で起きてるこの状況は仮想現実とはちょっと違うものだし、一回の発動でこんなにバラバラな状況が起こるはずもないし...... やっぱりわからないことだらけだよ。うーん、ごめん......」

頭を抱え込んでしゃがみ込むテイルス。

スカートが汚れないように座る所作も手慣れてきたなと思わずクスリとしてしまったソニックでしたが、箱舟の上からテイルスの横に飛び降りて横に座ると、彼の肩を叩き、笑顔で元気づけます。

「なーにを言ってるんだテイルス! もうこれで全部わかったようなもんじゃないか!」

「......!?」

「ここが爆心地ってコトは、ここからこの星の反対側が一番エネルギーの影響が薄いってことだろ? ここにエッグマンが居ないってんなら、そっちの方にいるんじゃないか?」

「......あ!」

「後のわからないことは、エッグマンをとっちめて本人から聞けばいいさ!」

「そ、そうだね......! ごめん、ボクまた1人で勝手に落ち込んで......」

「ノー・プロブレムさ、テイルス!オマエがいなきゃ何にもわからなかったんだ。 頼りにしてるぜ!」

そう言うとすっくと立ち上がって踵を鳴らすソニック、テイルスも慌てて準備します。 ソニックといると、どうしていつだって楽しい気分になれるのでしょう。

今回のこの事件もきっとうまく解決できる......

確たる根拠もないのに湧き上がってくる自信。 ソニックに続き、意気揚々と走り出したテイルスの表情には、もう陰りはなくなっていたのでした。

「さあ待ってろよエッグマン! どこに隠れてても絶対に逃しやしないぜ!」