異世界大喜利 2023年10月【クリームとビッグは何を......?】
★作例
お父さんが全財産を光る玉に変えていた
毎月2人のキャラクターが驚きの装いとシチュエーションで登場! 思わず空想が膨らんでしまうイラストで、一緒に大喜利を楽しみましょう!
今回は可愛らしい探偵衣装のクリーム&チーズと、一見すると「まふぃあのどん」?なビッグが登場!何やら怪しげな取引の現場を見てしまったクリームは......?
皆さんだったらどんなセリフやナレーションをあてますか?
ゲームでの2人の雰囲気や世界観で整えるのもよし、大胆にアレンジして演出するのもよし! 作例では、まさかの行動に空いた口が塞がらない様子ですが...... そんな自由な大喜利ネタでもモチロンOKです!
ぜひ楽しんで、Twitter(X)の「#異世界大喜利」のタグと共につぶやいてみてください♪
良かったものについてはソニック公式Twitter(X)アカウントからレスにてご紹介をさせていただきます。
みなさんの楽しい大喜利投稿、お待ちしています!
Act10:「ちびっ子たんてい と まふぃあのどん」
〇月×日 たんていひみつメモ
「9時12分、ようぎしゃを発見、ちょうさを開始しマス!」
一見平和な賑わいを見せる、おだやか日和のステーションスクェア。
可愛らしい探偵服を着たウサギの少女「クリーム・ザ・ラビット」と、その友達のチャオ「チーズ」は、街を騒がすチャオ誘拐事件の「ようぎしゃ」の尾行に余念がありません。 お手伝い......もといアルバイト先の探偵事務所で色々と学んだクリームは、こうして街の平和を守るため、探偵ごっこ仕事に精を出すのでした。
容疑者の名は「ビッグ・ザ・ボス」。 高級そうなコートにお揃いのハットを深くかぶった寡黙な大猫......サングラスの奥には小さな目が怪しい光をたたえています。
そんないかにも「その筋」な風格の彼を、街の人々はいつしか「マフィアのドン」と呼び、様々な憶測で噂話に花を咲かせていたのでした。
そして誘拐犯の数少ない目撃情報「無口で力持ちな大男」と一致したこともあり、クリームは彼を事件の容疑者として調査し始めたのです。
「10時10分......銀行で悪の取引?」
銀行の正面玄関......。 のろのろと走る黒塗りの高級車から、のっそりとその巨体を現した「まふぃあのどん」。
大きな耳を羽ばたかせて空から彼を追っていたクリームは、銀行脇の街路樹の枝にそうっと降り立つと、その陰から彼が銀行員に迎え入れられ、正面から堂々と入って行くのを見送ります。
歩きながら彼が何かを取り出して渡すやいなや、ペコペコとおじぎをして奥にすっとんでいく銀行員......あまりに怪しい素振りです。 そしてその時、クリームはその「何か」を見たのです......それは、チャオの写真だったのでした。
「......ゆうかいしたチャオの写真!」
そして数分後、やはり正面玄関から堂々と現れた「まふぃあのどん」の両手には、お金がパンパンに詰まった大きな金属のアタッシュケースが2つ。
「......身代金!?」
うやうやしくお辞儀をして見送る銀行員に見送られ、ビッグは車でこの場を後にします。 ......「まふぃあのどん」には銀行も逆らえないのでしょうか。まんまと身代金が悪者の手に渡ってしまいました。
「次こそ、決定的な瞬間をおさえて、タイホしてみせマス!」
クリームは今一度大きく耳を羽ばたかせると、車を追うスピードを増したのでした。
「11時5分、釣り堀のぶき商人!?」
客もまばらで静かな釣り堀......場違いなスーツ姿で一人竿を垂れる「まふぃあのどん」。 何かの待ち合わせでしょうか。横に置いたアタッシュケースを時おり見つつも微動だにしません。
「チーズ、そろそろ......」
釣り堀の外から中をうかがっていたクリームが、偵察に出していたチーズを呼び戻そうと空を見やったその瞬間......
<< パーーン! >>
突然の破裂音!慌てて身を伏せるクリーム。 振り返ってみれば、ビッグはいつの間にか現れた男にジュラルミンケースの1つを渡し、代わりに別の黒いケースを受け取っています。 お互いにケースを開いて中身を確認する2人。
「チャオーー!」
そこに猛スピードで戻って来たチーズ。 顔面蒼白でクリームに向かってガンマンのような仕草を繰り返し、あれが何だったのかを彼女に伝えます。
「ぴ、ピストル!?」
震えるクリームの耳元に、彼らの会話が聞こえてきました。
「上物でしょ?これをぶっ放せば、みんなイチコロですよ」
黒い箱を指さしてそう話す男に、満足げに大きく頷く「まふぃあのどん」。 白昼堂々の取引きで、誘拐の身代金を使い武器まで入手してしまいました。 やはり「ビッグ・ザ・ボス」は、悪い「まふぃあのどん」だったのです。
流石に恐ろしくなってきたクリームでしたが、誘拐されたチャオたちの安否を思うとそうも言っていられません。
「こ、怖くなんかないデスよ!絶対にタイホしてみせマス!」
へたりこんだ姿勢から立ち上がるクリーム&チーズの2人は、決意も新たに尾行を再開したのでした。
「17時15分、やみの取引所!」
ステーションスクェアの歓楽街、カジノ脇の細い路地に身を滑りこませていく「まふぃあのどん」。 子分のカエルを伴い、お金とピストルの入ったケースを両手に、のっしのっしと進んでいきます。
たくさんのお金は...... 誘拐したチャオの身代金。
ピストルは...... チャオを誘拐する時の脅しにつかう......?
自らの恐ろしい想像に震えるクリームが、それでもなんとか「まふぃあのどん」の後をつけていくと、やがて暗くうす汚れた小さな露店の前で足を止めました。 カウンターの向こう側にはサングラスとマスクで顔を隠した、怪しげなチャオ。
闇の取引所......そう形容するしかない、薄暗く胡散臭いたたずまいの店が「まふぃあのどん」の目的地だったのでした。 彼が黙ってケースをカウンターの上に乗せると、店の主人と「まふぃあのどん」はにんまりと悪い笑みを浮かべます。
「まいどあり、旦那...... 今日の出物はこれだ」
ぼそりと告げた店主が取り出したのは金色に輝くチャオのタマゴ......! ビッグはさらに悪い笑顔でそれに手を伸ばします。
お金と、ピストル......「まふぃあのどん」は誘拐を、この闇の取引所でプロに依頼していたのです! 自ら手は汚さず、お金と武器で悪事を操る......これこそまさに「まふぃあのどん」の所業でしょう。 たまらずクリームは飛び出します。
「そこまでデス! ゆうかいの現行犯でタイホしマス!」
クリームの声に、驚き振り向くふたり。
「何だって!? これはただの......」
ケースに手を伸ばした店主を制し、チーズを向かわせるクリーム。
「証拠はあるんデスよ! ......チーズ!」
「チャオチャオーー!」
「ここにゆうかいに使うピストルが......って、あれ......?」
......開けたケースの中に入っていたのはピストル......ではなくパーティの定番アイテム、クラッカー。 子分のカエルがひとつ「パーン!」と鳴らしてみせると、場の空気は静まり返ります。
「うちはタダの幼稚園だよ、お嬢ちゃん...... 旦那はいつも......」
「だ、 だって...... 身代金に、ゆうかいしたチャオのタマゴも......!まふぃあのどんが......」
それを聞いて顔を見合わせた店主と「まふぃあのどん」。 彼らは数秒の沈黙の後に大笑いをすると、クリームに全てを話してくれたのでした。
ここは、チャオの幼稚園の勝手口。 ビッグは大企業の社長で、人知れず幼稚園に寄付をしつつ、時には迷子のチャオを適切な幼稚園に送り届けるボランティア活動をしていたのでした。
元気なチャオの写真が見られれば見返りは要らない、というビッグはそれを知る街の人々に慕われており、今日もハロウィンパーティ用にと、街の人々から様々な差し入れを貰いつつの来園だったのです。
「じゃあ、全部、かんちがい......?」
ほっと胸を撫で下ろすと同時に、勘違いの恥ずかしさで頭を抱え込んでしまうクリーム。 ビッグはそんな彼女に両手で持ちきれないほどのお菓子を手渡すと、大きく暖かい手でクリームの頭をなでるのでした。
「ウサギちゃん、チャオを心配してくれて、ありがと~」
「......ビッグさんは、いい "まふぃあのどん" だったんデスね!」
見かけだけで判断してごめんなさい、とクリームが謝ると、その後には幸せな笑い声が路地裏に満ちていったのでした。 ......が、次の瞬間!
ビルの闇から突如、2つのワイヤーつきロケットパンチが伸び、ビッグの持つジェラルミンケースを掴みます。 チャオのタマゴが入った大事なケースです。
「うわ~ なにするの~」
遠い暗がりから恐ろしい力でタマゴを奪おうとしているのは、巨大なロボット。 ビッグは必死に抵抗します。
「もしかして......あれがチャオのゆうかいはんさん!?」
誘拐犯はビッグではありませんでしたが、誘拐事件自体は確かにあったのです。 そして今ここに、その真犯人が現れたのでした......!
「す、すごい引きだぁ~」
ロボットはビッグからケースを奪おうと引きを強めますが、ビッグも負けじとロボットのワイヤーを手繰り寄せます。 そして......
「来たぁ~~!」
ビッグがここぞとばかりに力を入れて引き上げると、ロボットは放物線を描いて空を舞います。 彼が更に勢いをつけて引き寄せると、ロボットは勢いよく地面に叩きつけられたのでした。
<<ドゴォォン!>>
大ダメージを受けてひっくり返る、ゴミ箱のような頭をした緑色の大柄なロボット......頑丈そうな装甲に包まれていますが、今の衝撃で開いた頭部のフタの中に、モロそうな電子パーツが見え隠れしています。
とどめをさすなら今しかありません!
「いまデス! チーズ!」
「チャオー!」
クリームの合図で、飛び出したチーズのチャオアタックがロボットの急所を直撃!
<<ガシャン! ビビビ......!>>
電気スパークを発して機能停止するロボット。 そのスキにクリームが空を舞い、伸びきったワイヤーを巻き付けて動きを封じてしまいます。
「チャオをゆうかいする悪いロボットさん! 現行犯でタイホしマス!」
ついに名探偵クリーム&チーズは、チャオ誘拐事件の真犯人を捕まえたのでした......!
その後......
ロボットの痕跡をたどると、街外れの倉庫でたくさんのチャオが見つかり全員が無事保護されました。 捕まっていたのはみな珍しいチャオばかり。一体なぜこんなことをしたのか?......後は警察の仕事でしょう。
それよりクリームが興味を持ったのは「まふぃあのどん」です。 チャオ達を支える活動をすっかり気に入った彼女が、時々「良いまふぃあ」のお手伝いをするようになったことは、言うまでもありません。
「マフィアのドンに新たな子分ができたらしい」
ステーションスクェアでそんな新しい噂がたつのに、そう長い時間はかからなかったのでした......!
「翌日 10時35分、ミスティックルーインにて......」
「......ったく、ロボットを釣り上げちまうなんて、ビッグの釣りの腕前はトンデモないぜ! クリームの頑張り屋さんも相変わらずで、ちびっ子探偵がキマってたな!」
......ミスティックルーイン駅近くの、テイルスの工房がある高台の上。
そこから見えるチャオガーデンの入口に、チャオのタマゴを届けに来たビッグたちが入っていくのを見たソニックは、ゴキゲンな表情でそう言いました。
「あのロボットは、前にエミーを誘拐したZEROだったな。アイツも相変わらずと言えば相変わらずか」
そう続けて思わず苦笑してしまうソニック。するとその背後で工房のドアが勢いよく開き、テイルスが走り出してきます。
「わかったよソニック!わかったんだ!」
工房の設備で調べものをしていたテイルスが告げた事実は、驚くべきものでした。
「異変の原因がファントムルビーと分かったから、そのエネルギーに絞って色々調べてみたんだけど......」
観測衛星を使って宇宙から調べてみたところ、なんとこの星自体が、ファントムルビーのエネルギーで出来たごく薄い光の膜ですっぽりと覆われていたというのです。 そして異変はこの星の中だけで起こっていたのでした。
エッグマンは、たった一回しか使えない、仮想現実で世界の認識を歪めるファントムルビーの力を、ソニック達の住むこの「星」に対して使ったのです。
「つまりエッグマンは......この星そのものの認知を歪めて、今回の世界的な異変を引き起こしたんだ!」
比較的異変の影響が軽微だった......外見だけパン屋になっていたテイルス工房とソニック達の間を、不穏な風が吹き抜けていきました。
どういうことだ?と言わんばかりのソニックの表情を受け、テイルスは続けます。
「星自体がだまされれば、この星で生まれた地上のボクたちもその影響を受ける......世界中でね。 エッグマンはファントムルビー兵器を、最高のコストパフォーマンスで活用したってことさ。もうびっくりだよ......」
ヒュ~、と口笛を吹いて見せるソニック。テイルスも、半ば感心まじりのため息をつきます。
「じゃあ、アチコチで起きてるバラバラな異変は、全部この星が持ってるイメージだってことか?脚本家もビックリだぜ ......!」
「ううん、違うんだソニック......」
さらにテイルスは続けます。
「やっぱり星全体をどうだますかまでは、エッグマンにも制御できなかったんだ。
それで結果的に、宇宙の光の幕がイメージを集めるアンテナの様に機能して、あらゆる人たちの "思い" を受信して星にフィードバックして......それが各地で "異変" として反映されるようになっちゃったんだよ」
そして今回は仮説ではなく、宇宙の光の幕から伸びた、幾筋ものファントムルビーのエネルギーが地表に届いているのをしっかりと観測しての結論だと、テイルスは補足します。
「......フーム、この状況はオレたちが作ったものでもあるってコトか。 面白いけど、自分の中にあるイメージを勝手に外に出されちまうのは、ちょっと困りモンな気もするぜ......」
それを受ける方もね、とスカートのすそをつまんでテイルスは苦笑まじりに応えるのでした。
「だが......」
腑に落ちつつも、まだ疑問は残ります。
「ここまでのコトをやっておいて、エッグマンに何の得があるんだ? この混乱に乗じれば世界征服だってできたはずなのに......狙いは一体何なんだ?」
色々と分かったことで、逆に混乱してしまったソニック。しばし沈黙が立ち込めましたが......
数秒のち、ハツラツとした笑顔で口を開いたのはテイルスでした。
「それはわからないけど...... とにかく、この光の幕を維持している施設か装置を壊せば、星は目を覚ますはずだよ!その位置だって、もうエネルギーの流れを調べて割り出し済みなんだ!だからソニック......!」
テイルスの提案にゴキゲンな表情を取り戻したソニックが続きを引き受けます。
「OK、そうだな!まずはそっちに向かって、この滅茶苦茶な状況を何とかしよう!ナビは頼んだぜテイルス!」
「うん!まっかせて!」
やっぱり頼りになるぜとソニックが笑いかけると、はにかみながらテイルスも笑い返します。
2人はいよいよ事件の中心の地に向かって、走り出したのでした。