『マリオ&ソニック AT リオオリンピック™』(Wii U版)発売記念!サウンドインタビュー ACT 3
大谷 床井さん、瀬上さんにはどんなところをお願いしたのでしょうか?
床井 瀬上さんにはBMXという種目を制作してもらいました。BMXといえばみなさんご存じのようにエクストリームスポーツとして有名ですけど、その中でもストリートカルチャーというかそういったバンドサウンドの曲として演出したいと思い、瀬上さんに作って頂きました。
床井 仕様的にはスーパークロスのような種目で、大きなこぶをいかに高く飛んでトリックをして、タイムを競います。まずは走る部分とジャンプをして華麗なテクニック・トリックを決めるという演出部分をどう切り替えるか、工夫をする必要がありました。
瀬上 あの手のエクストリーム系で、一般的に気に入られていて、テレビ放送とかであてられる楽曲は2極化していて、パンキッシュで押しもある「やったぜ」的なパターンか、もしくはレイドバックしたヒップホップ系の楽曲をあてて、タタタタっとストップ掛けながら魅せるっていう割と両極端。そんな中で、頭からスタートダッシュという種目は、そういうテンポ感が必要だし、ゲームだし、というところで行き切る感じにしましょうという流れから、今回もストレートな感じになっています。
瀬上 “今回も”というのは、今までの『マリオ&ソニック』シリーズの中でも、今作であれば“ブラジル感”、前作の『マリオ&ソニックAT ソチオリンピック™』のようなウィンタースポーツだったら、“ウィンター感”。それを演出するのにベルなんかを使っていたり。本来はこういったコンセプトに沿う曲にするのがセオリーだけど、前作のソチオリンピックで言うと、モーグルのように2回のジャンプの綺麗さ、華麗なトリックさ、後はスピードだけで勝負するような、そういうものすごく短いスポーツ、ゲームプレイ時間が1分行かない短時間なスポーツは勢い良くいっちゃった方が良い。ウィンター感ありつつ、もしくはブラジル感ありつつ、でも、バリエーション的な広げ方って考えると、そこに寄らないモノも必要だね、という幅出しの所を毎作担当している感じではあります。
床井 ブラジル曲ばかりだとバラエティーさに欠けるので、やはりそういった幅出しの部分は大切ですし、特に「ソニック」シリーズでもバンドサウンドと言えば瀬上さんなので早々からお願いしていましたね。とにかく曲のデモが出来るのも早い。
大谷 通常運転ですね!
床井 提案を受けたのが3案。具体的な曲があった中で進められたので、凄く話が早かったです。
大谷 その3案というのはノリの違いですか?
瀬上 そうですね、そもそもテンポが全然違う、という感じでした。
床井 そこから欲しい要素を拾い上げて消化して頂いて、曲にまとめてもらった感じです。実際の競技にあてながら、あの時はムービーに貼りながらですが、それに合うように詰めていきました。実際ベースになる曲にしっかり歌えるメロディを落とし込んでもらって、ゲームに組み込んでみたらバッチリだったんです。
床井 後はトリックの部分の切り替えをどうするかっていうところだったんです。あそこが一番盛り上がるので、楽曲的にも盛り上がった方が良いかなと思ってそのような設計で進んでいたんですけど、任天堂さんから真逆の意見が来たんですよ。
大谷 どういうことですか?
ジャンプトリック中の演出
床井 具体的には「ジャンプトリック時にBGMを無音にして風の音を目立たせる事は可能でしょうか?」という提案が来たんです。主旨としてはジャンプでは高さを感じたいというものでした。確かにその演出も良いなと感じましたので、BGMを止めずに高さを演出する方法を考えた結果、ローパスフィルターを通したBGMを流し続けるような実装をしました。そうすると凄く高い所でジャンプしていて、高いがゆえに下の方で聞こえるような演出になるのかなと。
大谷 BGMの高域をカットする処理をしてビート感は持続させながら、風の音が強調されるようにしているということですか?
床井 そう、それで高さを演出している。そこで任天堂さんにOKを頂いた感じです。どうしても流れは止めたくなかったので。
瀬上 ソニックのメインストリームのシリーズで、ブーストをやっている様な表現方法で、テンポ感、曲はつながっているけど、その場に則した感じを音で演出するという。
大谷 確かに。ソニックがブーストした時の音の演出に近いかもです。そのアイデアで合意できてよかったですね。
瀬上 そんな感じで、競技曲のバリエーションの幅広さも必要なので、僕の役割はバンドサウンドうち出し系の担当者でした。
床井 全体の中で良いアクセントになっていると思います。
大谷 瀬上さん、ありがとうございました。
コンポーザー#4 絹川唯史
大谷 次は絹川くんに登場してもらいたいと思います。よろしくお願いします。
絹川 お願いします。
Act 4(7/22 公開予定)に続く
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