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GAME SYMPHONY JAPAN 17th Concert

みなさんこんにちは、「ソニック」シリーズサウンドディレクターの瀬上です。

6月23日(木)に25周年を迎えた「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の生誕を祝して、6月25日(土)に東京ジョイポリスでスペシャルステージイベント「ソニック25周年 アニバーサリーパーティー」が開催されました。

20周年を祝った2011年に"『ソニック・ザ・ヘッジホッグ 20周年記念展』バースデーパーティー"を開催してから、毎年恒例となった東京ジョイポリスでのステージイベントですが、今年は初の試みとして「ニコニコ生放送」「Youtube LIVE」 「AbemaTV FRESH!」にて生配信を行ない、会場にお越しいただけない方にも楽しんで頂けたかと思います。

イベントでは「25周年記念開発トークショウ」として、歴代タイトルの流れを追いつつ「ソニック」の描かれ方がどのように変化してきたか、また、どういうコンセプトで登場キャラクターが増えていったか、といった点を軸に歴代タイトルの流れを追いつつ振り返ってみました。内容的にはビジュアルメインのものでしたので、"SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE"のトークショウのようなものを、また開催したいものですね。

GAME SYMPHONY JAPAN 17th CONCERT SEGA Special 2016

「ソニック」生誕25周年を迎える今年はイベントが目白押しですが、続いて開催されるのは7月17日(日)に東京芸術劇場コンサートホールで開催される"GAME SYMPHONY JAPAN 17th CONCERT SEGA Special 2016"です。オーケストラで演奏されるにあたっては、然るべきアレンジが施される必要があります。一体、どういうプロセスを経て譜面へと落とし込まれ、オーケストラで演奏されるのでしょうか?気になっていたポイントだったので、本公演での「ソニック」関連楽曲をアレンジを担当されている鹿野さんにインタビューを申し込んでみました!


photo: Yutaka Nakamura
2016年4月、GAME SYMPHONY JAPAN本番当日のリハーサルにて。左が鹿野草平氏、右は今回「NiGHTS」の編曲で参加している辻田絢菜氏

瀬上 今回は昨年の秋に行なわれた公演からパワーアップしての再演となりますが、前回のコンサートで演奏された「ソニック」関連楽曲は、すべて鹿野さんにオーケストラアレンジをご担当頂きました。メガドライブ時代のタイトルから5曲、ドリームキャスト時代から3曲という選曲でしたが、選曲そのものにも関わられたのですか?

鹿野 自分は直接選曲には関わっていないのですが、GAME SYMPHONY JAPAN事務局の中のセガ・フリークなメンバーが選曲しています。選曲に関わらない場合でも、セットリストを見て「これはこうした方がよい」など、意見を言うときもありますが、今回は自分が見てもベストな選曲だと思いましたし、瀬上さんも選曲のアイデア出しに参加されたと聞いていたので、特に意見はしませんでした(笑)。

瀬上 近年の「ソニック」シリーズにはオーケストラ楽曲もある旨は伝えていたのですが、昨秋の選曲はドリームキャスト時代までのラインナップから人気が高い曲をオーケストラアレンジして聴かせたらどうなるか?というところに主眼を置いた選曲とのことでしたね。

さて、メガドライブ楽曲は、その仕様から実際に発音されていた音数は多くありません。オーケストラ向けにアレンジされるにあたっては、どういうプロセスを経るのでしょうか?どの音程を、どの楽器が受け持ち、どんなパートを付け足そうか、などと考えるであろう、そのアレンジの過程を伺ってみたいです。

鹿野 まず音色が似た楽器を優先します。その上で、クラシックとして必要なフィル(合いの手)や対旋律を、空いている楽器で考えて作ります。そのあと、"オーケストラとして鳴る"ようにトータル的にサウンドを調整します。この時、DTM的に実際に音を作り込んで確認するのではなく、自分の頭の中で精密に音を鳴らして確認します。また、FM音源は他の電子音に比べ倍音を多く含んでいます。その「ビヨーン」とした音もできるだけ再現したいと思って編曲に取り組みました。

瀬上 頭の中に構築した全体象があるわけですね!一方で、ドリームキャスト時代の楽曲は、選ばれた3曲のうち2曲が、ヴォーカル曲として知られている曲でした。それをオーケストラアレンジするにあたって、気を使われた点などありましたら、教えてください。

鹿野 ロックバンドの楽曲の場合、たとえ和声(厳密なクラシック音楽的な意味で)とメロディに食い違いがあっても、それは"その曲の持ち味"として成立します。ところが管弦楽の場合、音響の構造が異なるので、そうはいきません。たとえるなら"ウマ味"にならず、苦味になってしまのです。なので、オーケストラ用の編曲では、単純にコードを鳴らすのではなく、メロディとそごをきたさないよう、注意深く和声を設定しました。あとは原曲のパワーをいかにオーケストラにたたきこむか......! です。

その結果、相当演奏がきついオーケストレーションになってしまって、オーケストラの皆様には申し訳ないのですが、東京室内管弦楽団と東京混声合唱団の皆様は、前回の公演同様、楽曲の求めるエネルギーに応えて、パワフルに演奏してくださると思います!

瀬上 なるほど、確かに「バンドサウンドならではの"ウマ味"となる音の重ね方」というのは明らかに存在しますよね。前回、ご一緒させて頂いた際も、色々と新鮮な驚きがありました。ちょっと「ソニック」からは離れてしまうのですが、オーケストラアレンジするにあたって、ゲーム音楽と他のジャンルの楽曲との違いを感じたりすることはありますか?

鹿野 ゲーム音楽は、他のジャンルの音楽に比べて「盛り上がり・盛り下がり」の幅が小さい事が多いと感じます。それはゲーム音楽の特性上、楽曲の構成に「ヤマ」と「タニ」を作ってしまうとゲーム画面の盛り上がりと音楽の印象が食い違ってしまうためだと思っています。そこで、ゲーム音楽のコンサート用の譜面を書く場合は、原曲よりヤマとタニをより大きくして、メリハリの効いた編曲になるよう工夫しています。

瀬上 なるほど、よりダイナミクスを曲に与えるようにするということですね。では、最後の質問なのですが、鹿野さんが担当された「ソニック」関連楽曲のアレンジの中で、ご自身で一番気に入っているものとその理由を教えてください。

鹿野 う~ん......大好きな楽曲ばかりですので1曲だけ選ぶというのは難しいですね(汗)強いて言えば......ですが、1曲だけ選ぶなら"His World"ですね。

ファンの方はよくご存知だと思いますが、この曲は今まで原曲を含め幾つかのアレンジがあります。今回は大谷さんから構想をいただき、原曲となるヴォーカルテーマ、その初出となった"2006 E3 Version"、そしてボス戦で使用されていた"Solaris Phase 2"の3つのバージョンを掛け合わせた、GAME SYMPHONY JAPAN仕様の壮大な編曲になっています。もちろん大変な作業で、コンサート全体の中では短い曲ではありますが、多く時間を割いて丁寧に編曲しました。

それと、もう1曲選ばせてください!"Seaside Hill"は原曲とはうってかわって、あえてモーツァルトの時代の様なクラシカルな編曲にしてみました。近世ヨーロッパの宮殿のサロンにいる気持ちでお聴き頂ければと思います。東京芸術劇場の雰囲気とも、きっとマッチすると思います。作曲者である瀬上さんに、ソリストとして弾いていただけることは自分もセガ・ファンの1人として本当にうれしいです。

瀬上 私も"Seaside Hill"は個人的に好きな曲なので、とても楽しみです!

鹿野 今回、私は「ソニック」関連楽曲の編曲を担当いたしましたが、GAME SYMPHONY JAPANでは4人の編曲者で分担してコンサート全体の編曲を手掛けています。ぜひ他の曲でもアレンジやゲームを音楽で表現した工夫に注目していただけたら嬉しいです。

瀬上 そうですね、コンサート全体を楽しんでもらえればと思います!

イベント概要
公演名 GAME SYMPHONY JAPAN 17th CONCERT SEGA Special 2016
開催日時 2016 年7 月17日(日)
開場 17:30/開演 18:30
会場 東京芸術劇場コンサートホール
演奏予定
ゲームタイトル
第1部 歴代「ソニック」シリーズ
第2部 「ぷよぷよ」シリーズ、「スペースチャンネル5」、「サクラ大戦」、「シェンムー」、「デイトナUSA」
第3部  「NiGHTS into dreams...」
チケット料金 S席 8,500円
A席 7,500円
B席 6,500円
チケット取扱 ・チケットぴあ
電話:0570-02-9999(Pコード:288-855)
WEB:http://w.pia.jp/t/GSJ/
・イープラス
WEB:http://eplus.jp/GSJ/
・ローソンチケット
電話:0570-000-407、0570-084-003(Lコード:31378)
WEB:http://l-tike.com/GSJ/
主催 株式会社アイムビレッジ
特設サイト http://www.gamesymphony.jp/concert/2016/sega_special2016.html

それでは、また次回...
7月17日は会場でお会い致しましょう!
See Ya!!