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ソニック & メタルソニック

誰もいないDr.エッグマンの秘密研究所......起動とともにデータベースに接続したそのロボットは、今の状況を把握してこう評価しました。

[[ この状況は "好ましくない" ]]

そのロボットがメンテナンスで眠っている間に、Dr.エッグマンはソニックに倒されて敗走...... またしても "彼" は、主の危機に駆けつけられなかったのです。

そしてそれと同じか......あるいはそれ以上の痛恨事がもう1つありました。

それは、ソニックを倒す機会をもまた、逸してしまったということです。

ソニックを倒すために作られた「メタルソニック」という名の機械知性は、続けて自らの状況をこう評価しました。

[[ この状況は "好ましくない" ]]

☆ ★ ☆

高層ビル群を縦横無尽に貫く、超立体高速道路エリア「スピードハイウェイ」。

空へとそそり立つ「360度回転ループ」や、らせんを描いて伸びる「コークスクリュー」など、充実した加速車線の数々は、スピードマニアの心をひきつけて止みません。

そんなゴキゲンなエリアを、鼻歌まじりでランニングしていたソニックですが......

< ドゴオオン! >

突然、真正面から何者かの襲撃を受けます。かろうじて避けたものの紙一重、目の前の道路は恐ろしい衝撃でガレキの山と化していました。ニヤリとして口を開くソニック。

「逆走で自損事故とはおそれいったぜ......メタル?」

眼前のガレキの中から立ち上がったのは、まさしくメタルソニック。

それは刺し貫くような鋭い視線をソニックに向けたかと思うと、次の瞬間、一瞬で距離を詰め、左手に握った何かをソニックに突き付けていました。

「Hey! ソイツは......!?」

それは、明滅するカオスエメラルド......そして、もう片方の右手は、スピードハイウェイの最奥を、微動だにせず指し示しています。

ソニックは一瞬でその意図を理解しました。

「ソイツを賭けてオレと勝負ねえ......でも、ちょっとフェアじゃないよな?」

ソニックも懐から、手持ちのカオスエメラルド全てを取り出します。

「いいぜメタル。真剣勝負......オール・オア・ナッシングだ!」

その瞬間、2つの青い影が、夕闇の摩天楼のライトに照らされながら路上に躍り出ます。どちらの音速が上なのか、雌雄を決するレースが始まったのです。

☆ ★ ☆

ビルの谷間を縫う高架道路に、音速の風切り音が響き渡ります。

360度ループから、ひねり落としての右カーブ、左カーブを抜け、ダウンからアップでらせんを描きうねり上がっていくコークスクリュー......

爽快な難所の続くこのスピードハイウェイの路面を、軽やかにトレースして加速していくソニック。それを、ジェットエンジンを猛然とふかし、路面滑走するメタルソニックが追い上げます。

互いに一歩も譲らず優劣のつかないままレースは続きましたが、コース中盤で1つの変化が起きました。

スピードの乗った下りからの超ロング急カーブ。この難所の手前でメタルソニックが接近戦を仕掛けたのです。

電磁スパーク状態でのブースト体当たり......不意を突いての強襲でしたが、これはソニックにかわされます。いや、読まれていたのかもしれません。 ブースト終了で一時的に出力が落ち、減速してしまうメタルソニックですがこれは計算の内。このままこの急カーブを適切な速度でクリアします。ここではソニックも減速せざるを得ず、メタルソニックが失うものは何もありません。

......のはずでしたが、その瞬間。

ソニックが猛然と加速して迫ってきます。 一瞬、思考が断片化するメタルソニック。

[[ ......!? ]]

コースアウト必至のスピードでカーブ外周にふくらんだソニックは、そのままメタルソニックの頭に手をやると......思い切り押しやった反動でインコースに向かって加速し、カーブを抜けていきました。

「Sorry!」

もんどりうって、どうにか体勢を直したメタルソニックが顔を上げると、ソニックがはるか先を走っていくのが見えます。

この現状をメタルソニックはいそぎ分析します......

[[ この状況は、"好ましくない" ]]

☆ ★ ☆

追走しながら、分析を続けるメタルソニック。

ソニックには、初戦からずっと勝てずにいます。最高の性能と、疲れを知らない鋼鉄の体。負けない要素はいくらでもあります。

なのに、勝てないのです。

なぜなのか。なぜ、ただ走るのが速いだけのハリネズミに......

その時。

この AI 思考スレッドの海に、電子のざわめきがさざ波立ちました。

......「速いだけ」だからこそ、なのでは?

[[ ............! ]]

なぜ自分はソニックと同じ形状で作られたのか。

ソニックを倒すため、一才の無駄がない最高のデザインとして、創造主たるDr.エッグマンが、この体を自分に与えたもうたのではなかったか。

その目的のために作られたこの自分が、まずすべきことはただ一つ。

スピードにおいてソニックを圧倒することです。

......火器管制、電磁スパークコンデンサといった「無駄な」部分へのリソースを全カット。 全思考スレッドを「スピード」に収束して最適化......メタルソニックが自らを内側から先鋭化させていきます。

一瞬間の後、「メタルソニックという概念」そのものと化した青い鋼鉄が、ソニックへの猛追を開始したのでした。

☆ ★ ☆

一方ソニックは、メタルソニックの雰囲気が少し変わったことに気づきました。じわじわと距離を縮めてきてもいます。

......メタルソニックは機械です。 何を思い、考えているかなどわかるはずもありません。 でも、ソニックは時々、感じることがあるのです。メタルソニックの意思を、昂ぶりを、勝利への鉄の執念を。

それが今も、ほんの数百メートルの背後から、ひりひりと焼け付くように伝わってくるのです。

「ったく、アツくなっちゃってまあ......」

呆れたようにつぶやきながらも真剣な表情で、しかし口元にわきあがるニヤニヤを抑えながら、ソニックはさらにスピードを上げます。

「ヤケドしても知らないぜ?」

上昇する左ひねりの半コークスクリューから反転し、急転直下で地表に突き刺さったゴールまでの一直線。 垂直に切り立った摩天楼の外壁を、2つの青い音速が駆け降りていきます。

ゴールは目前。先をゆくのはソニックです。

メタルソニックの AI は、この時点で把握していました。 このままでは勝てないことを。

どうすれば勝てる? あともう少しだけジェット出力を上げられれば......何かリソースは......!?

☆ ★ ☆

「......?」

地表まであと数百メートルという所での一瞬。

その時ソニックは、何が起こったのか理解できませんでした。

あり得ないスピードでソニックを抜き去っていくメタルソニック......! その胸からはまばゆい七色の光が、背中のジェット噴出孔からは真っ赤な炎と黒煙、そして微細なパーツの破片が、慟哭(どうこく)のように激しく噴き出しています。

「メタル......!?」

そうです。メタルソニックは、持っていたカオスエメラルドのエネルギーを取り込んだのです。ですが、今のカオスエメラルドの力は安定せず、とても制御できたものではありません。

先を行きながらも、少しずつ軌道を見失い、崩壊していくメタルソニック。

何かを察したソニックが、声をかけようとしたその時......

一瞬、七色の光が黒煙に呑まれたかと思うと、メタルソニックは「ぱっ」と赤い光球と化しました。

勢い余ったソニックはそれを突き抜けて着地します。 そして「はっ」と空を見上げると......

夜空を背に、赤い炎の軌跡を引き、きらめく窓ガラスの破片をともなって落ちてくるメタルソニックの四散した体が、スローモーションのように目に映りました。

その時、ソニックは一瞬、それを美しいと思いました。

直後、遅れてやってきた爆発音に包まれながら、思わず立ち尽くすソニックでしたが、その次の瞬間......!

右腕だけになったメタルソニックの上半身が、落下の瞬間に地面を叩きつけ、その反動でゴールに向かって飛び出します......が、健闘むなしく、メタルソニックはゴールラインにあと10mというところで力尽き、そこで完全に動けなくなりました。

その瞬間にソニックはゴールラインを越え、この勝負に終止符が打たれたのでした......

いつになくシリアスな表情で後ろを振り返るソニックをめがけて、カオスエメラルドが飛んできます。片手で受けとめるソニック。 メタルソニックが最後の力で放ったのでした。

[[ ......!! ]]

歩み寄ろうとするソニックを、燃えるような瞳でメタルソニックがけん制します。

今、このゴールラインをまたぐことは、この2人には許されない......そう、言っているように、ソニックは感じました。

メタルソニックの破損状況は思ったより軽微そうです。 奇妙な安堵(あんど)の感情に違和感を覚えつつ、ソニックはいつもの口調で告げます。

「いいレースだった」

そしてきびすを返すと、振り返りもせずに立ち去ります。

「......リベンジ待ってるぜ」

☆ ★ ☆

敗残したメタルソニックは、そのまま今の状況を分析していました。

今回は完敗です。

持てるリソースをすべて投入しましたが勝てませんでした。
長所を先鋭化してみましたが遅きに失しました。
最後は不確定なリソースに手を出し、自滅しました。

......ですが。

ですが今回、前例にないパフォーマンスを出せたことは評価すべき事実です。

最後のカオスエメラルドにしても、あのまま何もしないでいればどの道敗北していたことを考慮すると、必ずしも悪手では......とはいえ、詳細な分析は後回しです。

すでに救難信号は出してあります。じきに救援が来てエッグマン基地に回収されるでしょう。 基地のメインコンピューターに接続して今日のデータを解析すれば、次は必ず勝利できるはず。スピードへの先鋭化だけでなく、阻害行動や攻撃パターンにも再考の余地はあるでしょう。

自分はまだより高い次元に達することができる。その次元で優劣をつけるべき相手がいる......

電圧低下による、強制スリープモードに落ちる瞬間、思考の時間解像度が急速に落ちていくそのはざまで、メタルソニックは一瞬、分析とも感慨ともつかない分析結果を得ました。

[[ この状況は、"悪くない" ]]

相似にして異質。「ライバル」ではくくり切れない「因縁」の関係

ソニックを倒すことを目的に作られた、Dr.エッグマンの最高傑作ロボットの1つ「メタルソニック」。

メタルソニックの特徴として「ソニックにそっくり」というのは、確かにあげられると思います。

ですが、ここまでシルエットと各部のパーツがソニックに似ているにもかかわらず、それでも似て非なるものという確かな異質感もあり......それもまた、メタルソニックの特徴と言えるかもしれません。

人生を自由に、冒険とともに楽しむソニックと、一切の無駄をそぎ落とし、一つの目的に執着するメタルソニック。 同じ「音速のハリネズミ(+型ロボット)」でありながら、見ている世界は全く違うものなのです。

メタルソニックが初めてソニックと出会ったのは、ゲームタイトル「ソニックCD」です。ショッキングな登場演出に始まり、ステージ丸々を使った「レースでの死闘」をソニックと繰り広げました。

この闘いは、ソニックの勝利で終わるわけですが、2人の関係......いや「因縁」は、ここから始まったのです。

その後は「ソニック・ザ・ヘッジホッグ4 エピソードII」において、敗北したメタルソニックの復活の経緯がゲームで語られました。

以降、メタルソニックは、ソニックの前に立ちはだかる強敵として数々のゲームタイトルに登場することになります。

毎回ソニックたちの大きな脅威となって立ちはだかり、敗れはするものの後に必ず立ち上がり、次にはさらなる脅威となってソニックを待ち受ける......

打倒ソニックに燃える永遠にして最強の刺客、それがメタルソニックなのです。

☆ ★ ☆

ソニックには、多くのライバルが存在しますが、メタルソニックは、ちょっと特殊な立ち位置になります。

それは、ライバルとして特に対立する点に「スピード」を持っている、というところです。もちろん、戦闘ロボットとしての脅威もすさまじいのですが、他のライバルと比べて「スピード勝負」へのこだわりの比率は多いと言えます。

ソニックに似せて作られた以上、ソニックのトレードマークである「スピード」を圧倒しなければ真に勝った事にはならない......そういう論理が働いているのかもしれません。

一方ソニックは、メタルソニックのことを「メタル」と呼び、手ごわい相手ではあるものの、好敵手として勝負を楽しんでいる感があります。

ここまでスピードに執着し、優越の決着をつけようと挑んでくるのはメタルソニックだけ。敵ながら、同じスピードマニアとして認めている部分は少なくないはずです。

これからもメタルソニックは、幾度となくソニックの眼前に恐るべき敵として現れて勝負を挑んでくることでしょう。ソニックとメタルソニックの、クールで熱いバトルと因縁に、どうぞご期待ください!

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キャラクター紹介

→ソニック・ザ・ヘッジホッグ
→メタルソニック