『マリオ&ソニック AT リオオリンピック™』(Wii U版)発売記念!サウンドインタビュー ACT 3
インタラクティブ・ミュージック
大谷 他に、床井さん的に堀田くん担当で印象に残っている競技の曲としてはどれでしょう?
床井 三段跳です。尺は短いのですが、変化を付ける為にパーツが多い。
大谷 ゲーム中での切り替えが多いって事ですか?
床井 そうです。分かりやすい変化を工夫してもらいたかったので、そういった意味でも機能的になっています。
大谷 ゲームの状況に追従した変化を付けてほしいというオーダーがあって、堀田くんはどう音楽的にどう消化していったのですか?
堀田 ゲームの状況に応じた曲パーツをそれぞれバラバラに作るんですが、それを全部つなげるとちゃんと一つの曲みたいに聞こえるようにしようと思って制作しました。
大谷 順番をなぞると?
堀田 まず、試技開始前のテンションアップジングルです。
床井 3回試技のうち、1回だけ発動出来るものです。これは助走性能がアップするのですが、この時手拍子モーションと専用エフェクトが踏み切りまで発生します。余談ですが、オーディエンスの手拍子が踏み切りに向かってどんどん早くなるように、プログラマさんに仕込んで頂きました。
堀田 次に助走ですね。助走速度が上がると曲が切り替わる仕掛けも入っています。
床井 炎のエフェクトが発動するMAX SPEEDでハード版に切り替わります。
堀田 それからホップ・ステップ・ジャンプの踏み切りです。これはそれぞれ2パターンあるので、3×2で6パターンです。
床井 踏み切り毎の評価によって切り替えて、パーフェクトだった時の変化がより音楽的になっています。
堀田 そして最後に、記録が出た時のジングル。曲パーツは多いんですけど、この一連の順番で曲パーツを並べた時に、自然な流れになるように作りました。助走やジャンプとかで良い評価を取った時の方がつながりが良く、盛り上がるように設計したので、ぜひ聞いてみてほしいですね。あと、同じ陸上競技でやり投があるので、それとの差別化も意識しています。
床井 やり投では、全体の流れというよりも、動作による切り替わりを大事に作ってもらったね。理由としては、動作の一つ一つが非常に短く、あっという間に過ぎてしまうので、動作それぞれをきっちり楽曲で表現してあげて、瞬時にワクワク感が味わえた方が良いかなと。
堀田 やり投は、助走→角度決定→投てき→記録表示というそれぞれの動作に応じて、コロコロ曲が変わるのが楽しい感じになっています。
大谷 じゃあこれ、各パーツ何小節っていうレベルの話?
堀田 何小節ってレベルです。助走が4小節で角度決定が2小節、投てきが1秒みたいな。
床井 なので曲自体を、端的にしないといけないので、表現したい事をそこに凝縮しないといけない。
堀田 助走や投てきなどの短い動作をわかりやすく楽曲で表現して、それが短いスパンでコロコロ切り替わることで、ワクワク感が出せたと思います。逆に三段跳は、曲の切り替えよりも競技全体を通した曲の流れを重視した感じですね。やり投は生の金管、三段跳はシンセ、といった音色面でも差別化をして、それぞれのカラーを出せたのではと思います。
床井 三段跳の4人マルチプレイでは、一気にスタート出来るんですよ。なので、調整無しにやるとパーツが多い分、ごちゃごちゃした感じに聴こえてしまうんですけど、そうやってフェーズ毎に住み分けしている分、上手いプレイが出たら盛り上がる楽曲が流れるようなシステムに出来たので、結構このつくりは良かったかなと思っています。
大谷 単に音楽を作るだけじゃなくて、インタラクティブな設計も加味しながらの作曲という、難易度が高い制作をも任されて、いろいろな経験が出来てよかったですね。
堀田 この3種目以外も含めて、まさかここまで多くの楽曲を任せて頂けるとは思っていなかったので、とても良い経験でした。あと、レコーディングを通じて自分が思った通りの音になっていく、という経験を出来たのが凄く良かったです。
大谷 堀田くん、ありがとうございました。
コンポーザー#3 瀬上 純
大谷 次は瀬上さんです。よろしくお願いいたします!
瀬上 よろしくお願いいたします。
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