ソレアナ通信
『SONIC THE HEDGEHOG』ディレクターによるコラム

SONIC THE HEDGEHOG

第5回 シルバー・ザ・ヘッジホッグ

シルバー・ザ・ヘッジホッグ誕生

今回は、今作で初めて登場するシルバー・ザ・ヘッジホッグについてお話しします。

実はシルバーというキャラクターの制作は、今回の開発作業の中で一番最初に着手されたんです。その頃はまだこのタイトルを次世代機で作ることも決まっていなくて、まずは新キャラクターを作ってみよう、ということをきっかけに始めました。

最初は、白いハリネズミにするという方向性は決まってはいたものの、具体的なキャラクターデザインは決まっていなかったので、試験的にモニター上ではソニックを白くして実験を行っていました。

それと平行して、デザイナーはシルバーのアイデアをいろいろと出して、それを話し合いやキャラクター調査などをして決めていきました。シルバーの場合、どちらかというと見た目はすんなり決まったほうではないかと思います。


シルバーのデザインを試行錯誤中のラフスケッチ

ただ、名前に関しては苦労しましたね。最初は、ヴェニス(仮称)という名前で呼んでいました。この名前は、今回の舞台はヴェネチアのような感じにしようということは決まっていたので、そこにいるキャラクターだからヴェニスかな、という安直な理由でそう呼んでいたのです。

最終的には、これまでの命名セオリー通り、キャラクターの特徴である体の色や未来、超能力などをイメージさせるシルバーという名前を付けることになりました。丁度、ソニック、シャドウと並んで名前の最初に「S」が付いたことも理由のひとつです。

当初のヴェニスという名前で長い間開発を続けていたので、いざ変えるときにはなかなかしっくりこなかったんですが、今では逆にシルバー以外にはイメージしにくいですね。

シルバーのアクションについて

鉄骨をまげてその反動でジャンプします

次世代機というとよくビジュアルと同時に物理エンジンというのが取り上げられますが、このシルバーは、それをわかりやすく皆さんに楽しんでもらおうということで遊びを作り上げたキャラクターです。

でも、これは面白そうである反面、いろいろ難しい問題がありました。ゲームって、現実に出来ないことができるから面白いんです。でも物理エンジンは、現実におこることをリアルにゲームの世界で起こすもの。この箱蹴ると崩れるんです、すごいでしょ?・・・だけではつまらない。

で、このつまらないを解消しようということで、シルバーには超能力を持たせることにしました。超能力というのは便利なもので、現実と非現実がうまく入り交ざっているんです。物理のリアルを使いつつもゲームでの現実では起こらない行為を楽しめるという、いいとこどりの設定なんです。

通常シルバーは、周囲のものを超能力で集めて、それを投げることで敵を爽快にやっつけますが、それ以外にも超能力というくくりで、様々なことをすることが可能です。見えない部分に道を作り上げたり、敵の弾をつかんだり…ほかにもいろいろな超能力アクションがあります。これはゲームをやっていく中で楽しんでください。

今回はシルバーについてお話ししました。個人的に、かなり気に入ったキャラクターです。ソニックとシャドウとはまったく違うアクションを、是非お楽しみください。

次回は、アクションステージについてお話ししたいと思います。

そうそう、次の更新が行われる頃には、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が発売となっていることと思います。
あともう少しだけお待ちください。

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中村俊

1997年セガ入社
『ソニックR』、『ソニックアドベンチャー』に参加後、『サンバDEアミーゴ』『ジャイアントエッグ』などのディレクターを務める。