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クリエーターズ インタビュー

021:森本 兼次郎

星の聖櫃

ストーリーに関して

「シューティングスターストーリー」といサブタイトルが語る通り、今回のお話のキーとなる存在は「星の聖櫃」と呼ばれる隕石です。

偶然この隕石を手に入れたソニック達が、謎のロボット軍団に追われる羽目に。

何故ロボットは自分たちを狙うのか?この謎を解明しようとロボを生み出した会社に進入。そこでソニックたちを待ち受けていたのは前作にてソニックたちと戦ったバビロン盗賊団。

どうやらロボットたちも、ジェットたちも、ソニックが持っている「星の聖櫃」と呼ばれる隕石を探し集めている様子。

…とまあ、こんな感じに隕石を中心にソニック達、ロボット軍団、バビロン盗賊団が交錯する展開でお話が進んでいきます。

前作同様、同じ時間の流れの中をソニックたちの視点から進行する“ヒーローズ”と、バビロン一族の視点から進行する“バビロン”の2部構成になっていて、ヒーローズでの複線部分をバビロンで解きながら最後に大きな結末を迎えることになっています。

前作(ワールドグランプリ)の後という時間設定なので、前作をプレイした人は比較的入っていきやすいお話になっていますが、もちろん初めて遊んでくれた人にも充分に楽しめる内容になっていますよ。

今回のプロジェクトを進める上で、何が一番大変でしたか?どんなところで苦労されましたでしょうか?

正直全てが大変だったので“これ”っていうものが上げられないのですが、やはり目に見えない「重力」という力を如何に表現するかは色々と試行錯誤しましたね。

プレイヤーキャラクターが浮かんで着地するだけでは説得力に欠けるし、そこに何かしらの演出が介在しないと「重力」という言葉が浮いてしまうと思っていました。

そこで、無重力空間から有重力空間に切り替わる際の、「周囲への影響」と「空気感の変化」に重点を置いて考えました。

「周囲への影響」とは、つまりプレイヤーキャラクター以外の周りにある障害物が浮いて、それがプレイヤーキャラクターと一緒に重力に引かれて落下する表現のことです。

ただ単純に落下して壊れるだけでは物足りないので、地面や壁に接触して激しく火花を撒き散らしながら豪快に破壊される、そんなシーンを思い浮かべて、そのシーンを忠実に再現する為に独自のエフェクトエンジンを作り、物理挙動にHavokを用いたりと、実際に作り上げるまでは色々と長い道のりがありました。

もう一つの「空気感の変化」に関しては、絵的な演出は素直に頭に浮かぶものがありましたが、何かが物足りない。それは何かと模索している時に、映画「マトリックスリローデッド」のネオと(大群化した)エージェントスミスとの戦闘シーンを見ていて、その音響と映像の見事なリンクに気付き、重力のチャージと開放のタイミングでBGM自体を変化させてしまおうという発想に到りました。

これは当初実験的に行ったのですが、見事に映像とリンクし、アクションそのものに臨場感が生まれました。
この2つの演出が合わさって、ファースト段階にてグラビティコントロールが完成した時は、
「必ずこのゲームは面白くなる!」という確信を持つことができました。

日本全国各地で開催された「セガ×ヒューマンアカデミー 新作ゲームプロモーションイベント」に関して

僕は正直口下手な方で、人前で講演するなんて生涯一度も無いだろうと思っていたのですが、「日本全国の美味い飯が食えるぞ!」という部長の甘言にそそのかされて、このイベントに参加を決めました。

10月末から12月頭まで、北は札幌から南は那覇とまさに全国行脚でした。
実際のところかなりハードスケジュールで動いたので、あまり食文化に触れる機会はなかったのですが…(笑)。

イベント会場ではパネルトーク形式で、タイトルの紹介を兼ねて開発中の裏話や今後のソニックの展望等を語らせてもらいました。

タイトルの紹介は(今までに何度も社内でプレゼンをしてきていたので)スラスラ喋れるだろうと思っていたのですが、やっぱり場所や雰囲気が変わるとダメですね。緊張している所為か、伝えたいことが中々すんなりと出てこなくて、結構焦りました。

お客さんの質問を受ける場面では「なんで日本と海外でタイトル名が違うのですか?」とか意表をつく質問もあり、「よく調べているな…」と感心させられたりもしました。

試遊会では気軽に話しかけてくれるお客さんもいて、普段は聞く機会の少ないお客さんの生の声が聞けたりして、とても貴重な経験ができました。

「ジェット・ザ・ホークのゲームがやりたい!」って言ってくれた女の子がいました。是非セガに入社して作ってください!

こういった機会を設けていただいたヒューマンさんに感謝です。


おたのしみ