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SEGA-SAMMY GROUP

クリエーターズ インタビュー

025:井上 雅之

安心感があるのに、いつも新鮮な驚きのあるゲーム体験を

現在の職業に就いてから、学生のころにこんなことやあんなこともしておけばよかった!等、今になって思うことは何かありますか?

難しい質問です。
当時やりたいことは、それなりにやってきたつもりですからね。

ひとつ思うのは、学生のうちにもっと挑戦的に生きておけばよかったなと思います。ちょっと誤解を招きかねないので補足しますが、これは

「やりたいことをやればよかった」

ということではなくて、

「自分のスキルを超えたところでたくさん挫折をしておけばよかった」

という意味です。

昔から社会人がよく言うセリフに「学生時代にもっと勉強しておけばよかった」というものがありますよね。

でも、それは今の目標や苦労があってはじめて言えることで、学生の時からそういう動機付けを持つのはなかなか難しいと思います。だから、時間があってもぼんやりと過ごしてしまう。ひりひりするようなモチベーションを持って生きることができない。学生さんには、何かに挑戦して、失敗して、その悔しさをバネに「自分はこうなりたい!」と決心していく機会をたくさん持って欲しいですね。って、ちょっと抽象的な話になってしまいましたね。

「ゲーム業界の企画として武器になるスキル」という意味で聞かれているのであれば、プログラム言語やイラストレーション、シナリオ、特定ジャンルへの造詣(○○マニア)ということになるでしょう。

あと、いま私がやっていることでいうと、面白いと思ったゲームをA3の紙にマップや具体的な遊びまで全てを書き出して分析する作業があります。紙に書き出すという過程で、さりげない工夫やアイデアに気付くことが多いですし、全体としての遊びの組み立て方も見えてくるようになります。時間のある学生さんには是非おすすめしたいことのひとつですね。もし、この記事をご覧になっている方が現在高校一年生だとして、大学卒業まで毎月一タイトル×7年間やり続けたとすると、それはもう、すごく優秀なプランナーになってしまうと思います(笑)。

そのときは是非なんとしてもセガに入ってきて欲しいですね!

今までのお仕事の中で、一番印象に残っているものは何ですか?
その理由もお聞かせ下さい。

印象という意味では、海外でのアフレコ収録にひとりで行ったことでしょうか。

それほど国際派ではない私にとって、ニューヨークで仕事をするという状況はあまり想像できなかったですからね。でも、行ってみたら意外と普通だったんです。英語でやりとりをするだけで、やることは同じ。真剣にやっていれば相手もきちんと受け止めてくれる。

それからは「仕事をするのに場所は関係ないのだな」と思うようになりました。

現在はどのようなお仕事をされているのですか?さしさわりない程度に教えていただければと思います。

ソニックの新作タイトルで、今回もソニックのレベルデザインを担当しています。

実は前のプロジェクトが終わったときに「次世代機で2Dソニックの集大成的なものを作ろう」というような企画書を出していたのですが、そのときに水面下で進んでいたプロジェクトが同じような方向性のものを目指していると聞き、それならばと今回のプロジェクトへの参加へ手を挙げたのです。

ディレクター以下、皆熱い情熱を持って制作に取り組んでいます。

将来、どのような形で活躍したいと思いますか?

小手先では作れないような、丁寧なゲーム作りができるようになりたい。
安心感があるのに、いつも新鮮な驚きのあるゲーム体験を作り出したい。
そのための環境保全ができる人間になれればいいなと思っています。

それがチームという単位なのか、会社という単位になるのかは、
これからの自分の生き方次第といったところでしょう。

率直な質問で失礼します。井上さんは、新入社員にとって優しい存在の先輩ですか?
それとも怖い存在の先輩ですか?その理由もお聞かせ下さい!

たぶん……、優しいほうではないでしょうか(笑)。いや、どうだろう。
ただ、自分に教えられるようなことがあれば、何でも教えてあげたいと思っています。

実を言うと…、自分は新人時代に結構苦労をしたんです。入社後の研修で企画書を書いてプレゼンテーションをするという実習があって、優秀な先輩方が色々と教えてくれるんですけれど、その頃は何を言われてもさっぱり理解できなくて…。

コンセプトって何?ゲーム性って何?セールスポイントってどういうところなの?色々なことを言われて混乱してしまって、何がなんだかわからなくなってしまった結果、とにかく苦し紛れな企画書ができてしまった思い出があります(苦笑)。

きっと、ゲームをつくる前にゲームクリエイターというものになろうとしていたんですね。
学生時代に映画とかを作っていたものだから、余計にそういう意識が強かった気がします。何かゼロからものを作り出さなければならないと思い込んでしまって、先輩のアドバイスを素直に聞くことができなかったのです。

だから、同じようにプライドでつぶれそうになっているような新人を見ると、最初に、「キミはゲームのことをまだ何も知らないんだよ」と教えてあげます。だれかに評価されたいという「突飛さ」や「トレンド分析」なんかよりも、自分は本質的に何が好きなのかを思い出してもらうようにしています。

最後に、これからゲーム業界に入ろうと思っている若人に向けて一言!

やりたいという気持ちがあるのなら、きっとやれると思います。
今のキラキラした想いを大切にしてくださいね。


おたのしみ