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SEGA-SAMMY GROUP

クリエーターズ インタビュー

007 後編:瀬上 純

「クリエイターズ インタビュー」 第7回前編に続き、
『ソニックアドベンチャー』シリーズ、『ソニックヒーローズ』、『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』の
サウンドディレクターを担当した瀬上 純、インタビュー後編をどうぞ!

プロフィール:
瀬上 純(せのうえ じゅん)
セガ/クリエイティブセンターサウンドセクション/スタジオUSA在勤
『ソニックアドベンチャー』シリーズ、『ソニックヒーローズ』『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』サウンドディレクター
近年のその他の参加作には、『セガラリー2006』『プロ野球チームをつくろう!3』など。

~前編を読む~

インタビュー後編
「SONS OF ANGELS」から「Crush 40」へ

「Crush 40」についての質問も多かったです。
名前及び結成の由来、メンバー構成、それぞれどんな人たちなのかを教えていたけますか?

●結成までの流れ

『ソニックアドベンチャー』の"Open Your Heart"を録ったときに
ジョニー・ジョエリにコンタクトを取ったのが最初の切っ掛けですね。

彼はJOURNEYのギタリスト、ニール・ショーンが在籍していたことで有名だったHARDLINEというバンドのシンガーだったんですが、
バンドが割と短命に終わってしまって、
その後どうしているか分からない状態だったんですよね。

でも、表現力があって好きなシンガーだったので、
どうしているのかいつも気にしていました。

ある時、ドイツのソロアーティストのシンガーを
務めているということを知って、ああ、まだちゃんと歌ってるんだ! と嬉しくなりまして。
で、この曲を録るときに音楽業界の知人を通じて、話を始めました。

その時はこちらで歌詞も曲も用意して、
仮歌を録ったデモも渡して、スタジオで本番のボーカルを録るだけの作業でした。
お互いにとても楽しく、かつ刺激し合える感じだったのでその後もずっとコンタクトを取り続けていたんですが、
NASCARを題材にしたアーケード向けのレースゲームを作ることになり、
僕が全楽曲の制作を担当することになったのでそのときにまた一緒に組むことにしたんです。

セガのストックカーレースゲームといえば『デイトナUSA』を思い浮かべる人も多いと思いますが、
やはり僕が参加していた『デイトナUSAサーキットエディション』では当時MR.BIGのシンガーだった
エリック・マーティンが参加していたし、
アーケードの続編の『デイトナUSA2』でもWINGERのギタリストとドラマーが参加した
ヴォーカル曲だったりしたので、音楽性的にもうってつけな流れにあるプロジェクトだったんですよ。

で、どうせやるなら、それらのプロジェクト以上のことをやらなきゃ面白くないわけで、
そのときは、ある一つのバンドが全部の音楽を担当するというコンセプトにしたわけです。

中にはインスト曲もありましたが、基本的に演奏するメンバーは変わらない、という感じですね。


共演したエリックマーティンと
(1996年頃)
ジョニーが、やはり名の通ったシンガーということもあって、
ビクターさんから洋楽としてアルバムを出したんですが、
そのときのバンド名はSONS OF ANGELSでした。

知っている人もいるかもしれないですが、
前にエリック・マーティンと書いた曲のタイトルの一つで、
そこから取って名付けました。
このときはお世話になっている楽器メーカーのESPさんと、
音楽雑誌各誌との連動企画もあったりして、
色々と仕掛けられて楽しかったですね。

そのときのメンバーは、当時はLOUDNESS、
今はANTHEMというバンドで活動している
柴田さんと本間さんというリズム隊のコンビとジョニーと僕でした。

●名前の由来

その後、ヨーロッパのレコード会社が僕に

「SONS OF ANGELSのアルバムをヨーロッパでリリースしたい」

と連絡をしてきまして。
色々と調整が手間取ったりしているうちに、
90年代前半にいた北欧の同名バンドが再結成することになったので、
SONS OF ANGELSという名前を替えようということになったんです。

で、僕とジョニーとで好きな単語を出していっていたんですが、
なかなか決まらなかったんですよ。

そのうちに、出した単語の前後にナンバーを付けていって、
雰囲気と語感が良かったものを選んだ感じでした。
あ、音楽雑誌とかネットのインタビュー向けには、
ジョニーは別な由来をもっともらしく話してますが、それはそれってことで。(笑)

●沢山の仲間たち
~僕が曲を書いてジョニーが歌えばCrush 40~

そのヨーロッパのレコード会社から出たCrush 40のアルバムには
"Live & Learn"が1曲めに入っているんですが、
そのレコーディングからベースを種子田健に弾いてもらってます。 

1997年にあるアーティストのバックバンドで一緒にツアーをしてから、
彼とは毎年何かの作品を作り続けてますね。
僕と同い歳なんだけど、日本でトップレベルのベースプレイヤーで、
毎日ツアーにレコーディングにと引っ張りだこな奴です。
参加作品は、あまりにも多すぎるんでビビりますよ、きっと。
絶対に、皆さんも色々なところで彼のプレイを耳にしているハズです。

その曲のドラマーはガーゴイルというバンドのカツジでした。
カツジも、それまでに何回か一緒にレコーディングとかをしたことがあったんだけど、
彼は今はガーゴイルをやりつつ、
元ザ・ハイロウズの甲本ヒロトと真島昌利の新バンド、ザ・クロマニヨンズでも叩いていたりしますね。

次の『SONIC HEROES』でも種子田&カツジコンビだったんですが、"What I'm MadeOf..."は、
L.A.在住のドラマー、マーク・シューマンに叩いてもらいました。
氷室京介さんのツアーで日本にも来ていたし、
ビリー・アイドルやピンクなど、本当に大勢のアーティストとレコーディングやツアーに忙しくしています。

去年の夏は、怪我をしたマット・ソーラムのピンチヒッターで、
VELVET REVOLVERのツアーでも叩いていたし…。


JxJ試聴
今年は矢沢永吉さんのツアーで日本に行ったんじゃなかったかな。
マークには、僕が野田順子さんとやっているJxJという
プロジェクトの方でも全曲叩いてもらいました。

で、シャドウ以降の楽曲では、種子田とドラマーの河村徹という
ツーカーなコンビと組んでやっています。
ジョニー以外のウチらは、全員同い歳なこともあって、
気心知れた感じです。

そんな訳で、オリジナル名SONS OF ANGELS~
現在の名前はCrush 40というバンドは、
僕が曲を書いてジョニーが歌えば、ソレになるんですよ。

リズム隊に関しては特に固定する必要性もなく、
そのときの楽曲にあった人選をする…という感じですかね。

そのヨーロッパのレコード会社からも、ずっとCrush 40名義の新作を早く作れ~ と
言われていて、実際に2002年の休みのときに作ったりしていたんですが、
なかなか最終的にまとめるところまで至ってませんね。

次に休みが取れたら、まずしたいのはこのことかなぁ…やっぱり。

あ、そうそう、日本の人からも、

「Crush 40のCDが手に入らない!」

というメールとかメッセージをいっぱいもらうんですよ。
なので、

「SONS OF ANGELSのCDも探してみて~」

と返事を出すと

「聴きたいのが"Live& Learn"(『ソニックアドベンチャー2』メインテーマ曲)なんです」

とかね。

『ソニックアドベンチャー2』関係のCDも廃盤だし、
聴きたい!と言ってくれるのは嬉しいけど、実際には困っちゃうよね。


おたのしみ