SEGA

SEGA-SAMMY GROUP

クリエーターズ インタビュー

001:上川 祐司

ソニックというキャラクター性を表現しやすくしたかった

今までのお仕事の中で、一番印象に残っているものはなんですか?

んー、やはりソニックキャラクターのリニューアル作業ですかねー。

98年の『ソニック アドベンチャー』の開発時にキャラクターのリニューアルを担当させてもらったんですが
実際のところその瞬間はあまりプレッシャーも感じてなくて自由にやらせてもらいました。

でも問題はその後だったんですね…。
すでに完成、認知されたデザインに手を入れる事の重大さとその責任は自分の中で日増しに大きくなりました。
今でもそのプレッシャーは続いてますがそれは創る側の責任として自分にとっても
大きなやりがいになっていると思います。

当時、あのリニューアルデザインはとても斬新に感じました。
その時の苦労、リニューアルデザイン公開後の反響など、今改めてお話しいただいてもいいですか?

「そうですね。正直に言うと初めてソニックというキャラクターを見たときの印象は
「なんや…ライオン?ネコ?」でした。
ヘッジホッグなんて意味わかんないですし。
ハリネズミと聞いて「えー、原型留めてへんやん!」と(笑)。

ところが、です。その青いハリネズミはゲーム画面の中で非常に理にかなった移動、攻撃で
軽快に走り、転がり抜けるわけですよ。
「ああ、これがゲームキャラクターなんだ!」と改めてゲームでの
キャラクターのデザインに対するコンセプトの重要性を理解しました。
遊びありきのキャラクターをデザインする。
ただ見た目にカッコイイ、カワイイだけで良かったそれまでの作り方とは全く違ったものでした。

試行錯誤しながらも最終的に変更をかけたのはその等身を少し高くして、
瞳に色を差し、それまで閉じられた口元を少し開いて白い歯を見せることでやんちゃっぽさを強調しました。
これは今以上にソニックのアクションを大きく大胆に見せるのと、
よりアメリカンテイストを強調したかったからなんです。
ゲーム以外の部分でもそのポーズ、ビジュアルだけで
ソニックというキャラクター性を表現しやすくしたかったんですね。

『ソニックR』サントラ実を言うと、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが
このソニックのリニューアルを決め込むのと同時期に
『ソニックR』というタイトルのオリジナルサントラCD用の
ジャケットビジュアルを作成していたんです。

その時に自分の中でカートゥーンライクでイラストテイストの強いソニックを、
というコンセプトで自然に描いて出来たのが
そのリニューアルの方向性を持ったアレンジデザインだったんです。
「そう、ソニックってこんなカンジじゃない?」って。

ソニックその直後に描いたのが、メインビジュアルとなった回転する円を基本に
股下から腕を出した大胆なポーズのソニックで、
私の中では8年たった今でもあのカットが一番新しいソニックらしさを
表現出来てるんじゃないかと思っています。

おかげ様で公開後の評判も良く、
さすがに不安はありましたからちょっと安心しましたね。
でもそれはゲーム自体の進化とリンクしての評価であり
必然だったと思います。


勿論、今でもオリジナルの方が好き、という声も耳にしますし
私自身オリジナルを超えようなどとは思っていません。
ただソニックの持つ方向性や可能性のひとつを
広げる事に貢献出来たんじゃないかと思っています。

そういう意味ではソニックはこれからもいろんなデザイナー達によってまだまだ進化していくんだと思います。
ま、若かったんですかねー。今じゃ怖くて触れないかもしれません(笑)。


おたのしみ