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クリエーターズ インタビュー

005:川村 幸子

キャラクターデザインというものの恐ろしさ

川村さんと言えば、「チャオ」の生みの親として有名です。
「チャオ」がはじめて登場した『ソニックアドベンチャー』制作当時、
キャラクターデザインに関しては、上川 祐司が手がけることがスタンダードとなっていたと思うのですが、
その中で、どのようにアプローチをしていったのでしょうか?
チャオ誕生までの経緯を教えていただけますか?

当時、部署は違うのですがよくお世話になっていた先輩から

「川村、やりたいことがあるなら、とにかくアピールしなさい!」

と言われていたのも大きかったです。

『ソニックアドベンチャー』には、
『NiGHTS』のピアンのようにA-Life(Artificial Lifeの略:人工生命)
を入れることが決まっていました。

個人的にはそのピアンが大好きで、
ぜひA-Lifeに関わりたいと思っていたので、
他の仕事を担当しながらも、
A-Lifeをやらせて欲しいとずっと上司にアピールしていました。
今考えると、とてもウザかったと思います。

実際、キャラクターデザインをやらせてもらえることになったのですが、
キャラクター設定と呼べるものが当初は無かったため、
とにかく「様々な姿に変形する可愛いキャラクター」という
オーダーのみでデザインしなければならなくて、 非常に難航しました。

そもそも私にとってははじめての商業キャラクターデザインでしたし、
じゃんじゃん色々なデザインを描きまくるタイプでもなかったので・・・。
色々ひねりまわした結果、
最後にそれまで考えたデザインや「可愛さ」を忘れてざくっと描いたものが採用となりました。

この仕事を与えてくれた当時の上司にはとても感謝しておりますし、
キャラクターデザインというものの恐ろしさを教えてくれた上川先輩にも感謝しております。

「キャラクターデザインというものの恐ろしさ」とは?
よかったらお聞かせいただけますでしょうか?

フィーリングだけでデザインしてはいけないということでしょうか。
後の商品化のことも考えてデザインしなければならないことですね。

あいまいな配色や製品化しづらい要素を無計画に入れてはいけない、
造形的な設定に最後まで責任を持たなければならない・・・と言う感じ。

こんなあたりまえなことをよく考えずにデザインしてたという事が、今考えると恐ろしいです。

チャオは頭の上に浮いているパーツがついていたり、体にグラデーションがあったりと、
非常に商品化には不向きなキャラクターになってしまいました。
そのため、ぬいぐるみ等のグッズを作るときやアニメ化の時に、
関係者のみなさんには苦労させてしまいました。

ある程度様々な用途にあたっての心配りをしながら
デザインしなければならないということを
イヤというほど学んだはずなんですが、
その後『チューチューロケット!』で同じ過ちを繰り返してしまいましたが・・・。

「チャオ」の今後について、イメージなどがありましたら
お話しいただけますか?

「COOL」を信条とするソニックの世界では、珍しくゆるい印象のチャオですが、
ハイスピードなゲームの中のほっとする部分として、マスコット的な存在になってくれればと思います。

とはいえソニックキャラクターも人気商売なので、みなさんのご支持がないと忘れられてしまいます。
みなさんの応援無くして活躍はできませんので、これからもソニックシリーズのマスコットとして、
チャオをかわいがっていただければと思います。


おたのしみ