この仕事をしていて良かったと思うときはどんなときですか?
どんなときが楽しいですか?
作品全体はもちろん各シーンごとにでも、一つの確固たる世界を創れた時はうれしいですね。
BGMや効果音で、ゲームの中の世界があたかも実在するような説得力が出せた時の達成感は格別です。
例えば、オープニングなどのCGムービーに音を付けるという作業があります。映像だけでも凄く迫力のあるものなんですが、画面の中の出来事に細かく音を付けて行くと、そのシーンがさらに生き生きとしてくるんですよ。
そういうものを自分の手で作り上げていって、演出的にもバシッと決まったものが出来ると、我ながらニヤッとする瞬間がありますね(笑)。
「ソニックライダーズ」シリーズに関して、思い入れなどありましたらお聞かせ下さい!
実は、ゲームギア用の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』にお手伝いでBGMを1曲作ったのがセガに入っての初仕事だったんですよ。その他にもちょくちょくお手伝いでソニックシリーズには係わって来ていまして。いつか本格的にソニックタイトルを手がけてみたいと思っていました。
なので、最初の『ソニックライダーズ』を担当する事が決まった時は嬉しかったですね!…とは言え、いざやるとなると、どういう感じにまとめようかと結構悩みましたね。
それで、『ソニックライダーズ』は外伝的な位置づけのシリーズなので、それまでのソニックらしさとはまた違ったカッコ良さを表現するのがいいだろうと考えまして。スピード感を出すという事もあって、自分の得意な“テクノっぽい雰囲気”の曲でやらせてもらいました。シリーズを通してかなり自由に、やりたいようにやらせてもらえたのはありがたかったですね。
オリジナルサウンドトラック”Zero Gravity Tracks”に関して。
ゲームのBGMを作る時は、その曲がゲームの中でいかに効果的に機能するかを考えて制作します。今回の場合は各ステージの曲はプレイヤーの操作によって変化するように、パーツパーツでバラバラに作ってあったんです。ただ、それだとサントラCDとして聴く場合にバラバラのままだと全く曲として成立しないんですね。
なので”Zero Gravity Tracks”ではそれらが一つの曲として成立するように、ゲームの作業が終了した後、曲の組み立てを再構成して録音し直したものを収録しています。同じ曲でも、ゲームに入っているものはゲームに最適化されたもの、サントラに入っているものはサントラに最適化されたバージョン、と言えますね。
それからソニックとジェットにそれぞれテーマソングがあるんですが、この2曲は『ソニックと秘密のリング』でサウンドディレクターを担当した床井君が作曲したもので、どちらもとてもカッコイイ仕上がりになってます。
ソニックのテーマ曲、”Un-gravitify”は日本でヴォーカリストとして活動されているアイルランド出身のCashellさんという方に歌をお願いしています。CMソングなども歌っている方で、きっと皆さんも彼の歌声を耳にしたことがあると思いますよ。 暑苦しくならず、クールさを保ちながら歌い上げる声質は、今回の曲やゲームの雰囲気にピッタリだったと思います。
ジェットのテーマ曲は前作のジェットのテーマと同じタイトル"Catch Me If You Can"なんですが、ベースは同じ曲でもまったく違う仕上がりになっています。作詞と歌も前作から引継ぎ、ニューヨーク出身のrunblebeeさんですが、前作はラップのスタイルで、今回はロック調に歌ってもらっています。彼は『ソニックと秘密のリング』でも活躍してくれていて、色々なスタイルに対応できる才能豊かな方です。
ムービーシーンやイベントシーンのオーケストラ調の曲も含め、前作より重厚でドラマチックな曲が揃っていますので、サントラを通して聴くと、ゲームの様々なシーンが脳裏に蘇ってくること請け合いですよ!
セガに入ったきっかけ、動機などを教えていただけますでしょうか?
学生の頃から趣味でシンセサイザーなどを使って音楽を作ったりしていまして、漠然と音楽に係る仕事がしたいなぁ、なんて思っていました。レコード会社とかラジオ局とか、そういう方向で就職活動をしてたんです。
で、就職情報誌をいろいろ見ていた中にセガの開発スタッフ募集の記事があったんです。何枚かの紹介写真の中にサウンドチームの作業風景があって、そのシンセサイザーや録音機器に囲まれながら作業している姿を見て「この手があるか!」と思い、さっそく会社説明会に行ったり、デモテープを出したりして。なんだかんだで現在に至るという感じです(笑)。
セガに入って、どのようなことがやりたいと思っていましたか?
新しいもの好きなので、当時まだ目新しかったCD-ROMでのサウンド表現や、大型筐体や施設のライドなどの普段と違った世界を体験出来るようなエンターテイメント空間を作りたいと思っていました。