「スタジオUSA」現地の様子をレポート!
今回のスタジオUSA通信では、欧米のホリデーシーズンにリリースされた初のプレイステーションポータブル (以下、PSP)向けのソニックタイトル、『ソニックライバルズ』を紹介するね。
以前、E3というコンベンションを紹介した際にもちょっとは紹介したんだけど、今回は、本作の原案も手がけた飯塚ディレクターにインタビューしちゃいます!
まずは発売おめでとうございます。セールスも好調だと聞きましたよ。
ありがとうございます。
慌ただしいスケジュールでしたが、クリスマスプレゼントの時期に間に合わすことができて、ホッとしてます。
『ソニックライバルズ』って、どんなゲームなんでしょう?
タイトル名が示すとおり、ソニックとそのライバルたちが競走しながらゴールを目指す、レーススタイルのアクションゲームです。
本作には、チャレンジ回数やダメージによるゲームオーバーすらありません。ライバルとの競走に「勝つか、負けるか」というシンプルなルールで、デッドヒートの緊張感と爽快感を楽しめるのが最大の特徴です。ひと言で説明するなら、「ひとりでも2P対戦!」ですかね。
今回、プラットフォームにPSPを選んだ理由は何だったんですか?
携帯ゲーム機のソニックタイトルといえば、『ソニックアドバンス』シリーズや『ソニックラッシュ』などがありますよね。共に、2Dアクションゲームとして正統進化を遂げた人気シリーズなのですが、PSPのもつ高いグラフィック能力とワイドスクリーンという特徴を活かせば、それらとはまた違う進化、 まったく別の遊び方を提供できるのではないか?…と考えたのが、開発のきっかけです。
このガチンコレース&アクションのコンビネーションというようなゲームのコンセプトはどのようにして生まれたんですか?
携帯ゲーム機の良さって、場所や時間を気にせず、ほんの少しの空き時間でも遊べるところだと思うんです。なので、10分の空き時間でもついつい電源を入れてしまうような、短時間で熱くなれるアクションゲームを目指しました。PSPで一番熱くなれるアクションゲームだと自負しています。(笑)
今作のストーリーを簡単に説明してもらえますか?
競走をベースにしたゲームといっても、運動会のような「競技」にはしたくなかったんですね。そこでソニックやナックルズ、シャドウも、それぞれの使命をもってエッグマンを追い、必然性があってライバルたちと争う…そんな設定をストーリーモードの中に盛り込みました。
4人のプレイ可能なキャラクターたち、それぞれに独立したストーリーがあって、ソニックはテイルスたちを助けるため、ナックルズは消えたマスターエメラルドを取り戻すため、そしてシャドウはエッグマンからの救助依頼を受けて、今回の冒険の舞台となる「オニキスアイランド」に集結するというお話です。
僕はテイルスが好きなので、プレイヤーキャラとして出てこなかったのは残念ですが、XBOX360とプレイステーション3で発売された『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』に初登場したシルバーとかも出てきますよね?
ゲームシステム上、プレイ可能なキャラクターは、これまでソニックのライバルとして登場したキャラクターたちから選びました。もちろん、シルバーもそのひとりです。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』同様、謎を秘めたキャラクターとして登場し、物語の謎を解く重要な役割を果たします。でもこの4人以外にも、お馴染みのテイルスやエミーたちも物語の中には登場するんですよ。
このゲームには、カードを集めるという楽しみ方もありますね。実際にはどれくらいあって、どのようにゲームにリンクしているんでしょう?
先ほどの「少しの空き時間でも楽しめる」という携帯ゲーム機の個性を活かした楽しみ方のひとつとして、トレーディングカードを集める遊びを取り入れました。勝負に勝つと、1ステージごとに1枚トレーディングカードがもらえるんです。
カードは全部で150種類あって、15年の歴史を感じさせるいろいろなイラストが描かれています。集めてイラストを眺めるだけでも楽しいのですが、それ以外にカードのコンビネーションを揃えることで、隠しコスチュームが手に入ったり、隠しキャラクターが使えるようになったりと、いろんな特典も隠されているんです。友達と無線通信を使った交換なんかもできるんですよ。
今回はカナダにある開発会社との共同開発なんですよね?
そうですね。『ソニックライバルズ』は、欧米のマーケットにフォーカスをあてたタイトルでして、ゲームデザインにも欧米のセンスを多く取り入れようという試みで、カナダにあるBackbone Entertainmentという開発会社と一緒に作りました。
彼らが『ソニックライバルズ』の企画をとても気に入ってくれたおかけで、彼らのセンスを活かした欧米向きのタイトルに仕上がったと思います。なので、日本のソニックファンの方々には残念なのですが、今のところ欧米以外での発売予定はないんです。
飯塚さんはメガドライブの『ソニック3』からソニックに関わり始めてから、途中、セガサターンで『ナイツ』を手掛けていたとき以外は、ずっとソニック関係のタイトルばかり担当している印象があります。今作は、良い意味で2Dのソニックを思い起こさせるものだったと思うんですが、飯塚さんにとって両者に違いはありますか?
『ソニック3』の頃は、2Dの横スクロールアクションのステージマップを書いていましたから、2Dの操作で遊ぶ本作を作り始めたときは、当時を思い出して懐かしく感じました。ですが、ゲームスタイルは全く違いますし、3D空間を疾走する爽快感は、横スクロールにはない醍醐味がありますので、懐かしさはすぐに消えてしまいました。(笑)
最後に、日本にいるソニックファンの方々にひとことお願いします!
いつも「スタジオUSA通信」を読んでいただいて、ありがとうございます。
残念ながら『ソニックライバルズ』は、欧米用タイトルということで日本の皆さんにお届けすることができませんが、もし海外に足を運ぶ機会があれば、ゲームショップのPSPコーナーをのぞいてみて下さい。
この『ソニックライバルズ』には、僕もディレクションと一部の楽曲制作で参加したんだけど、カナダの開発会社が起用しているミュージシャンと、僕とイギリスのリミックスファクトリーとの組み合わせでの作業はなかなか楽しかったので、また機会があったらやってみたいな!
セガ・オブ・アメリカのウェブサイトには、このゲームの気分をちょっとだけ味わえるミニゲームもあるので、是非チェックしてみてね!
『ソニックライバルズ』の公式サイトはこちらから。
今回の「スタジオUSA通信」はここまで。
また次回も、アメリカならではの情報をお届けするのでお楽しみに!
プロフィール:
瀬上 純(せのうえ じゅん)
SEGAのサウンドクリエイター。
代表作は『ソニックアドベンチャー』シリーズ、
『ソニックヒーローズ』、『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』など。
最新作、『ソニックと暗黒の騎士』ではサウンドディレクターを務めた。
その他の参加作品には、『ナイツ ~星降る夜の物語~』、『プロ野球チームをつくろう!2』など。